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「星のかけら」

ポリポリ

昼下がりのオフィス内に何かを噛み砕く音が聞こえた
噛む音の原因は馳部さんだ。

「…うん…まぁまぁかな」

馳部さんの机には小さな小瓶が複数一列に並んでいた。
小瓶の中にはピンク色、水色、黄色、赤色、白色

その正体は

「アンタも食べる?金平糖」

小さな星の欠片を模している砂糖菓子の金平糖だ。

「どうしたんですか?この金平糖」

机の上に並べられた複数の金平糖たち。
瓶の底を1つ1つ見るとメーカーがバラバラだった。

「食べ比べと小さなトゲ探し。完璧なトゲをしている金平糖が見たくてさ、店で販売されている金平糖とネット通販の金平糖を幾つか買ってるんだけど」

「それで?味の方とトゲの方は?」
「味はまぁまぁかな?けどトゲは難しい。ほとんどが未熟。
味はまぁまぁ。トゲはまぁまぁじゃない」

馳部さんはポリポリと小さな噛む砕く音を出しながら、
また一粒取り出し小さなトゲを見つめ小さく溜め息を付いた。

「星の数程…果てしない?」

僕は水色の金平糖三粒を噛み砕いたのだった。

1/9/2025, 11:34:50 AM