「巡り会えたら」(一行詩)
たまたま入ったリサイクルショップで見付けたアナタを衝動買い
◆
一度手放した物に再び巡り合う前買った時よりも高峰の花となって
◆
一度ならぬ二度巡り会うことは買えと云うことなのだろうか?
◆
在るべき場所ではない場所で巡り会うのは運命の悪戯か?
「奇跡をもう一度」
奇跡、軌跡、奇蹟、鬼籍…。あ、最後は違ったな。
「奇跡て一度にならず二度も三度も起きたら
奇跡て云わなくなる。現実を見なさい」と
貴女は拉麺を啜りながら云う。
「…身も蓋も無い…奇跡があることに夢を見たいじゃないですか」
「奇跡に夢を持った所で何になるの?奇跡があるなら、
奇跡が起きてくれって願うっつーの」
テーブルにくしゃくしゃになった馬券。
僕はくしゃくしゃになった馬券に目を通し広げた。
先輩がやさぐれてるのは掛けた5万が見事に外れて
帰り道に買い物帰りの僕とばったり逢いアンタの運のツキワルさよと訳の分からない事を云いながら僕に拉麺を集り今に至る。
「あの番でいけるって思ったのに、なぁんで彼処で抜かれんの
最後に最後でそれこそ奇跡が起きても良いじゃんね」
奇跡は起こらない。5万損した。
明日は仕事。奇跡は起こらないと
先輩は呪文を唱えるように繰り返した。
「たそがれ」(一行詩)
たそがれに黄昏て彼岸花を撒き散らす
◆
たそがれに捨てられた菊の花は寂しかろ
◆
たそがれに黒猫と白猫は手招きの影
◆
たそがれに君の影は伸びて化けの皮
「きっと明日も」(一行詩)
薄茶色の猫とウリ柄の猫はきっと明日も遊びに
◆
きっと明日も買い忘れたモノを買いに行く
◆
きっと明日も梅酒を呑む
◆
きっと明日も…………?
「静寂に包まれた部屋」(一行詩)
部屋の主の居ない部屋で飼い猫は我儘顔でいる
◆
静寂の中で飼い主は飼い猫の布団化
◆
静寂の中で散らかされた玩具を片付ける