#38『冬になったら』
今年もこの季節になったね
一緒にしたいこといっぱいあるよ
こたつ出してぬくぬく温まりたいし
イルミネーションも見に行きたい
ケーキも作っちゃったりしてさ
プレゼントはどうしよう
誕生日とクリスマス近いもんね
欲しいものは何?
今までより何かもっと
特別なものを渡したいな
#37『はなればなれ』
ずっと私の片思いだった
振り向いてもらえないのはわかってたから
右手を伸ばせば届く距離にいても
心の距離はグルっと左から
32,760km
卒業して500km離れるとか
もうなんとも思わない
どうってことない
というか、
キッパリ諦めてしまおう
報われなかったけど悪くなかった
サヨナラ 元気でね
#36『子猫』
テストとか部活とか、お互い忙しかったから久しぶりに一緒に夕飯を食べて、テレビゲーム。ピンクのふわふわのパーカーを着てソファの上で肩を並べる。カーレース、私も結構うまいはずだけどついついドリフトする方向に体が傾いちゃう。そんな姿を見てか、彼の硬い表情筋がほぐれてるのに気づくとちょっと嬉しい。頭を撫でられると気持ちよくて、降りてきた手に頬ずりをすればもっと甘やかしてくれるから、思わずゴロゴロと喉が鳴ってしまいそう。あぁ、幸せだー。クールな私も今日はオフです。
#35『秋風』
どうやって風が吹くの?どうしてそうなるの?今では説明できるようになっちゃったけど、不思議だーってワクワクして感じた世界と、ある程度の原理を知って改めて実感する世界と、私はどっちの方が楽しかっただろう。ってか、寒っっ。
#34『また会いましょう』
頑張った分だけ報われて、適度にする運動が気持ち良くって、朝は早起きしたから登校中は清々しくて。毎日が充実して楽しかった。常に向上心、あのときの私はきっと輝いてた。
人には波がある。運があるとか、調子がいいとか、そういうの。高校に入ってそううまくいかないとすぐに思った。保健の先生は広い海にいるだけで貴女もクジラよ、って励ましてくれた。もちろん辛いことばかりじゃないけれど、あの時みたいにはいかないのかなって思ってしまう。
とにかく、最初の1年は授業と登下校で精一杯だったけど、だんだん慣れて、体力もついて、前より足は速いし、筋トレもできる。学力はボチボチだけど、仲間もできて部活も行事も重要な役を任されるようになった。
あのときの私だって、そうだったはずだ。勉強なんて興味なかったけど、のめり込むように机にかじりついて努力したし、周りとコミュニケーションを取りながら信頼できる人に囲まれるようになっていった。最初からできてたわけじゃないだもん。
あの時の私、いつか追いつくよ。そして追い越してやるから。私は絶対こんなもんじゃない。証明してみせる。