曖昧よもぎ(あまいよもぎ)

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12/7/2025, 10:41:52 AM

ふう、と息を吐く。白かった。ふゆだなぁ、と思った。

目がかわいている。

それにしてもこんなにもふゆとはさむいものだっただろうか。

指が悴む。芯まで冷えている。

紅葉はまだちりきっていない。あきとふゆの境目みたいな時期がいちばん苦しいのだ。

12/6/2025, 2:53:33 PM

子供の頃から誕生日ケーキの蝋燭が消せなかった。
肺活量の無さが原因か、毎年絶対に1本消すのに5回以上かかるのだ。
その姿はさぞかし滑稽に見えるんだろう、まったく恨めしい。


今年になってはじめて、自分で蝋燭に火をつけた。
このケーキも己の日々の労働からのプレゼントである。
駅前の小さなお店のチョコレートケーキ。
初挑戦だった。

一応、動画を回すことにした。
見返す予定はない、誰に送るでもない。
しかし、万が一を考えてしまった。奇跡を願ってしまった。

いち、に、さん、し、ご、ろく、でようやく灯は消えた。
蝋燭は2と3の二本のみなのに、なぜこんなにも時間がかかるのか。
暫くして、歌が無いことに気が付いた。
ひとりで歌うのも滑稽だと思って、開きかけた口を閉ざした。

ケーキは美味しかった。
でもなんとなく、来年は要らないなと思った。
なんとなく、本当になんとなく、誕生日は来なくていいと思った。
理由なんて無いけれどね、と言い訳をする。

目を背け続けて遂に歳を重ねてしまった。
夏生まれの君より、年上になってしまったよ。
僕は大人になってしまうよ。



「消えない灯り」

12/5/2025, 12:47:42 PM

12月に入り寒さも本格化した。
遠い町には既に雪が降っているらしい、太平洋側の地域であるこちらは雪とは縁が薄いので軽々しく「羨ましい」と口にできるが、あちら側の人間としてはたまったものではないのだろう。
交通を止める程度の雪であればこちらの人間だって「降るな」と願うものだし、僕にとっては雪は思い出の宝庫であるが。なんにせよ寒いのは嫌いである。
横浜駅周辺は実に賑わっていた。きらめく街並みときらめく人間。
それらは表面上だけのものである。決してきらめいてなどいないのだ。
東京などはやはり治安が悪いのだろうか、こんなのは序の口なのだろうか、千鳥足の男に密かに舌打ちしつつ素知らぬ顔で通り去る。一度だけ現実逃避に利用したギラついたネオンの街に思いを馳せ、掻き消す。僕は、この街で生まれ育ったのだ。まさか毎日イルミネーションに照らされている訳では無いが、確かにこの街に生まれ、育ち、通っている。
街とは生きているのか死んでいるのか判別つかない。活気のない街を「死んだ」と表現しているのを見たことはあるが、この街は果たしてどうだろう。だって行き交う人は生ける屍のようで、僕も例に漏れずただ呼吸だけしている街の傍観者だから。
ふと空を見上げた。今宵は満月らしかった。この夜の街と月は、果たしてどちらが美しいのだろうか。
少し考えて月のほうが美しいことにした。道徳の教科書には、きっとそう綴られている。

11/16/2025, 10:44:08 AM

誰彼に太陽だと言われたが、やはり私は月だ
太陽のあなたが夜は沈んでいるのに、私も沈んでは意味が無い
あなたにもらった光で存在を示しあなたを照らす月になりたい

11/16/2025, 5:05:19 AM

ひさかたの
光のなかに
いるのなら
木漏れ日の跡
みちになりゆく

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