手ぶくろ
夜のデート
手ぶくろを忘れて「はぁ〜っ」と何度か息を吹きかけ温めてみる
白い息ばかりでちっとも温かくならない
するとあなたは私の小さな手を覆うようにして、そっと自分のコートのポケットに入れてくれた
ポケットの中で氷のように冷たい指をぎゅっと握られると、あなたの体温を奪っていくように、私の指先は再びトクントクンと温かな脈を打ちはじめる
さり気ない優しさに驚いて気持ちもあっという間に温かくなる
けれど嬉しくて気恥ずかしくて「ありがとう」がうまく言えない
あなたを見上げると「寒くない?」といつもの笑顔
ああ
その笑うと垂れる目も、笑いジワも、この温かい手も、何気ない優しさも、何もかも私だけのものならいいのに
その優しさと温かさをもう一度独り占めしたくて、私は今日も手ぶくろを忘れたふりをする
クリスマスの過ごし方
いつもと同じように
同じ時間に目を覚まし日常が始まる
テレビからは「クリスマスはどう過ごす…」なんてワードが繰り返されるが、私のやる事はいつもと変わらない
家事をこなし仕事に行く
その時その場で出来る最善を尽くし、今日を精一杯生きる
けれど「忙しい」という言葉に流される毎日の中では自分の身の回りのことだけで精一杯
だからこそ一日を終える時には簡単でもいいから感謝をもって振り返る事をルーティンにしている
それでもついつい自分の身近なことばかりに思いを巡らせてしまうけれど、他の世界にも意識を向けてみよう
今私ができること、そこに少しの祈りをプラスすること
毎年クリスマスはそれを思い出させてくれる
イブの夜
夜になり教会に次々と人々が集う
まずは子どもたちのハンドベル演奏が華を添える
皆からの大きな拍手を受けると、いつもと違った神妙な顔つきはこぼれるような笑顔に戻る
そんな姿が心を温かくしてくれる
時間になるとすべての明かりが消え、真っ暗ななかローソクに小さな灯が宿る
ひとつの小さな灯を消えないようによう次々と周りの人へと繋げてゆき、聖堂が揺れる灯でいっぱいになったら静かにそして厳かに祭儀が始まる
皆が祈りをもって喜びのうちにこのひと時を祝う
全世界でこの日を同じように祝うはずなのに
病気で、仕事で、そして悲しいかな戦争によって祝うことが出来ない人々がいる現実
たとえ綺麗事であってもいい
私がいますぐに出来るのは祈ることくらい
無力さを感じながら今自分にできる精一杯の気持ちを込めて祈ろう
ひとつでも笑顔が増えますように
ひとりでも多くの人が心安らかに過ごせますように
すべての人の心に光が灯されますように
プレゼント
緊急事態です
ウチのサンタさんは困っております
子供からのお手紙にクリスマスプレゼントのリクエストが書いてあるのですが、肝心なところが判別不能です
なんとかして聞き出すか
いちかばちかで準備するか…
他のサンタさんはこんな難局どう切り抜けているのだろう
大空
大空と海がどこまでもつながっている景色が好き
「大空」という文字から頭に思い浮かんだのがこれ
緩やかに弧を描く水平線
普段あまり感じることがないけれど
地球は丸いって事を思い出させてくれる
そういえば海を潜ったときも空も飛んだときにも同じことを感じた
大自然の中では自分がどんなに小さいか
そしてこんなにちっぽけな私でも
紛れもなく自然の一部だということ
いつも当然のように在ること
当たり前思っていることを
いまこの瞬間大切にできる人でいられますように