作家志望の高校生

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7/27/2025, 12:11:38 PM

長い事彷徨っていた。カラカラに乾ききった砂漠みたいな人生で、迷い続けてきた。誰かから注がれる愛情も、視界を彩る色彩も。全て、涸れて渇いていた。どれだけ水を求めても、僕の杯は満たされない。ずっとずっと、そうして生きていた。歩き続けて、長い時が流れて。ようやく見つけた。君に、出会えた。砂漠にぽつんと広がる、広大な湖と草原のような君。僕に愛情と色彩を与えてくれた。君の周りだけは、僕の人生の中で唯一、輝いていた。きっと、周囲を見渡せばまた、目に付くのは色の無い砂漠だろう。でも今は、この美しい色だけを見ていたい。乾ききった景色から目を逸らしながら、この時間が永遠になればいいのに、と望んでしまった。

テーマ:オアシス

7/26/2025, 2:19:02 PM

「……ねぇ、どこ行くの?」
1LDKの狭い部屋を出ようとする彼の裾を引いた。ようやく絞り出した一言は、思ったよりもか細くて頼りない。
「……別に。」
素っ気ない彼の返事。いつも通りのはずなのに、今日はなぜだか、それが酷く不安を煽った。「行かないで」の五文字が言えたらどれだけ楽だっただろう。そんなちっぽけな勇気さえ出せないから、いつも僕は失ってばかりなのだ。 彼は、温度を失った体で帰ってきた。雨で濡れて、冷え固まった頬は、もう二度と言葉を紡いではくれない。少し泥で汚れて雨で濡れた、僕と彼の顔。この雨が止んだとき、そこに残る雫の跡は、涙なのか雨粒なのか。それは僕にも分からなかった。

テーマ:涙の跡