決めた、今日こそは
正直に謝ろう
何度そう決意したか
もうわからない
毎日毎日そう決意しては
謝れずにいるから
でもこんなこと
言えるわけがない
お揃いのブレスレットを
なくしてしまったなんて
親友の証として買った
大切なブレスレット
なくしたなんて
言ってしまったら
絶縁かもしれない
そう考えてしまって
もう1週間も経ってしまった
でもこのまま
隠しごとをし続けるのは
もっと嫌だから
今日こそは絶対に言う!
「「ごめん!!!」」
「「え?」」
「なんでそっちも謝るの?私はあのブレスレットをなくしちゃって、それで謝ろうとしてたんだけど……ほんと、ごめん!!」
「え、そっちも?実は私もブレスレットなくしちゃって、そのことを謝ろうと思ってたの私の方こそごめん!!」
私たちは顔を見合せて
ケラケラと笑いあった
「ねえ、またお揃いのやつ買おうよ、今度はなくさないような、大きくて可愛いやつ!」「うん!じゃあ、さっそく行こう!」
空はどんよりと曇り
重たい風が木々を揺らしている
肌寒く湿った空気は、息苦しさを誘う
梅雨のさなかの、じめじめとした一日
私は、雨音を聞きながら
ひとり窓の外を見つめていた
私は雨が割と好きだ
あの子に会えるような気がするから
あの日のことは今でも覚えてる
家族とのピクニック
突然雨が降ってきて
両親とはぐれてしまい
迷子になってしまった
心細くて泣きそうになってると
突然あの子は現れた
あの子につれられて
いろんな場所で遊んだ
何時間も何時間も
遊び疲れて木陰で少し目を瞑ったら
なぜか別の場所にいて
両親が目の前で心配そうに
私を見つめている
あの子はどこだと辺りを
見回しても見つからない
あの子はいつの間にか消えていた
あれからもう20年か……
きっとまた会えると
今でも信じてる
ああ、あの子たちはなんて
無垢な瞳をしているのだろう
社会の闇なんて知らない
ただ純粋に日々を生きている
曇りのないキラキラとした瞳
私にもあんな頃があったはずなのに
いつからだろう
思い出せなくなってしまったのは