海凪

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2/14/2024, 11:27:39 AM

あれ、今日って「バレンタイン」?


お菓子を手にした君が口にした言葉。

まさか私が渡すまで気づかなかったなんて。

昨日の夜から、どれだけ緊張してると思ってるんだ。

君に渡すだけで精一杯で、授業だって集中できなかったのに。

それなのに、忘れてたなんて。


「どうせ貰えないだろうから」

「はぁ?何それー、まぁ嬉しいけど」


と言ってさっそく袋から取り出そうとしている。

別に告白する予定はなかったからいいけど。

遠回しには伝えてみよう、とは思ってた。

でも、無理そうだ。これだけでもう頭がいっぱいだ。


「で、一応聞いておくわ」

「何?」

「これ、何チョコ?」

「へ?」

「ほら、あるじゃん。義理とか友とか」


意外にも、向こうから聞いてきた。これは痛い。

義理や友と答えてもこの後がない。

正直に答えても後が怖い。どっちにいっても無理。

でもせっかくのバレンタインだ。

この日はこの時のためにあるんだから。


「義理でも友でもない、かな」






2/11/2024, 4:26:32 PM

"また「この場所」で会おう"


高校の卒業式、彼が私に言った言葉だ。

毎日学校に通うために座ったバス停。

ここが、二人の特別な場所だった。

普通に見れば、ただのバス停だ。

でも二人はそう思わなかった。

いつもの集合場所。ここに来れば、会える。

そんな場所だったんだ。だから大人になっても

変わらず、ここを集合場所にした。

そして約束した。またここで会うと。

だけどそれは叶わなかった。

待ち合わせ場所は変更となってしまった。


"待ち合わせ場所、空に変わっちゃったね"


8/2/2023, 11:40:41 AM

「病室」の窓から見る景色はどうだい。



窓の外にある大きな木に座っている少年が尋ねてきた。

「最悪だよ。特にその木、大きすぎて邪魔。」

と答えた。すると少年は少し笑った。

"酷いなぁ。僕はこの木、結構好きなのに。"

だからそんなところにいるんだ、と思った。

"ねぇ、知ってる?この木、桜なんだよ。"

気づかなかった。今はすっかり緑に染まっていたから。

「そうなんだ。」

僕は俯きながらそう言った。

"知らなかったなんて残念。次の春までお預けだね。"

と少年ははにかんだ。

「次の春」か。待ち遠しいね。



そして病室には、無機質な音が鳴り響いた。

8/2/2023, 4:55:04 AM

「明日、もし晴れたら」



普段より早く起きて、布団を干そう。

それから、家を掃除しよう。

いつもより少しだけおしゃれをして、

電車に乗って遠いところに行こう。

お腹が空いたら、見つけたお店に入ろう。

それからね、街を歩こう。

色んな景色をこの目とカメラに収めよう。

誰もいない砂浜で海を独り占めしよう。

裸足になって波打ち際を歩こう。

沈んでいく太陽を見て、涙を流そう。



明日、もし君が僕のことを見えていたら、ね。