「病室」の窓から見る景色はどうだい。
窓の外にある大きな木に座っている少年が尋ねてきた。
「最悪だよ。特にその木、大きすぎて邪魔。」
と答えた。すると少年は少し笑った。
"酷いなぁ。僕はこの木、結構好きなのに。"
だからそんなところにいるんだ、と思った。
"ねぇ、知ってる?この木、桜なんだよ。"
気づかなかった。今はすっかり緑に染まっていたから。
「そうなんだ。」
僕は俯きながらそう言った。
"知らなかったなんて残念。次の春までお預けだね。"
と少年ははにかんだ。
「次の春」か。待ち遠しいね。
そして病室には、無機質な音が鳴り響いた。
8/2/2023, 11:40:41 AM