NoName

Open App
9/19/2024, 3:33:43 PM

時よ止まれと願ったよ
それでも時は止まらない
希釈されていく過去の中で
純度を増す君への想い

時が止まったかと思ったよ
初めて出会ったあの瞬間
風に舞う桜の中に
微笑む君がそこにいた

時よ止まれと願わずとも
君の浴衣と微笑みが
すべてを奪ってしまうから
もう花火の音は聞こえない

時が止まったかのように
静かに過ぎる秋の夕暮れ
君が隣りにいるときは
もう明日なんていらないね

時が止まってしまったよ
明日になれば君はいない
乾いてしまった冬の空に
煙となって消えてゆく

時よ止まれと願ったよ
それでも時は止まらない
純度を増した君への想いが
僕を明日へ連れて行く


〜時間よ止まれ〜#4

9/17/2024, 2:39:03 PM

咲く花の彩りは尽きずして、しかも元の色にあらず
花畑に咲く花々は、かつ枯れかつ芽吹きて、
久しくとどまりたるためしなし

かの有名な芳丈記の冒頭である。

花の色はひとつとして同じものはなく、
また時とともに移ろうものである。
花畑に咲く花は、それぞれに枯れては芽吹き、
同じ状態でとどまることはない。

自然の美しさや生命の移り変わり、
そしてそれが永遠ではないという
「無常」の感覚が表現されている。

というのが、よくある解説だが、
本当は何を伝えたかったのか。
私などに言わせれば、こうである。

一瞬の花となれ
精一杯の彩りで、見る人の心にうるおいを
惜しみない芳香で、香る人の心にやすらぎを
風に散らした花弁で、去る人の心におもいでを
与え尽くして枯れていく
一瞬の花となれ


〜花畑〜#3

9/16/2024, 3:28:42 PM

窓の外に雨を聞いて
人知れず泣く夜がある

夜中の雨はとても静かで
静かな雨が私をつつむ

私の世界は雨だけとなり
雨だけの世界に私はいない

いない私の涙は流れ
流れた涙もいなくなる

いなくなった涙の跡も
顔を洗えばいなくなる

朝がきた
雨があがる


〜空が泣く〜#2

9/15/2024, 5:36:43 PM

画面に映る文字列は
君の小さなこえだった
眠れぬ夜の静けさは
君にも同じことだった

指先で交わすおしゃべりが
夜空の月を高くする
照らしだされた窓辺から
夜ふかしの理由がとけていく

一往復のおやすみで
今日のまぶたが閉じていく
君との夜が明けていく


〜君からのLINE〜#1