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6/5/2025, 10:21:16 AM

「水たまりに映る空」 #24

雨上がりの放課後。
虹が出た部活終わり。
グラウンドの水たまり。

滅多にお目にかかれない虹に目を奪われていたあなたは、足元の水たまりに気付かずに片足をつっこんでいた。

虹だけに向けられていたあなたの意識は、たちまち水たまりに向く。

あなたに意識されていたのが羨ましくて、帰り際に水たまりを覗いてみた。

空も雲も虹も、何も映らない。

ただの土で濁った水たまり。
でも、そこにあなたの驚いた顔が映ったような気がした。

6/4/2025, 1:23:20 PM

「恋か、愛か、それとも」 #23

この甘い感情は本当に恋なのだろうか。
この熱い想いは本当に愛なのだろうか。
それともただの自己満足なのだろうか。

同性を好きになって真っ先に思ったことだった。
異性愛が当たり前と言われる中、この感情は本当に恋と呼ばれるものなのかと不安を感じた。
この想いは愛ではなくただの自己満足ではないかと疑った。

でも、あなたと過ごしていく中で思う。
これを恋と、愛と言わずに何と言うのだろう。
やっぱり私はあなたが好きだと。

6/3/2025, 12:36:32 PM

「約束だよ」 #22

約束。その言葉のなんと甘やかなことだろう。

明日、また連絡するからね。
来週、また通話しようね。
~日、ここ集合で。
半年記念日、デートしよ。
次のテスト、一緒に勉強しようよ。
次はそっちから、手を繋いでよね。
次は自分から、先に言うから。

私の手帳は、あなたとの約束でいっぱいだ。

6/2/2025, 10:20:54 AM

「傘の中の秘密」 #21

まだ、ただの知り合いだった頃の話。
急な雨で、傘を持っていなかったあなたが困って立ち尽くしてたから、思わず声をかけちゃった。

「もし良ければ、一緒に駐輪場までどう?」

そんなに話したこともなかったから、あなたはびっくりして困惑してた。
でも少し逡巡してから「うん。ありがとう」と返してくれた。

ぎこちない空気の中、他愛のない世間話をする。
一瞬だけ、あなたと私の手が触れ合う。
偶然に過ぎなかったけれど、私の胸がとくりと控えめな音を立てる。
あの時に恋に落ちたのかもしれないことは、私と1本の折りたたみ傘だけが知っている小さな秘密。

6/1/2025, 2:39:58 PM

「雨上がり」 #20

今、あなたに雨が降っている。
とてもとても悲しいことがあって、それがあなたに雨を降らせている。

雨は嫌いじゃない。
でも、晴れの方が好き。
そして、虹はもっと好き。

だから、すぐにじゃなくていいから泣き止んで。
雨もいいけど、あなたには青空の方が似合うから。
あの太陽みたいな笑顔で笑ってみせて。

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