「勝ち負けなんて」 #19
人に勝ち負けはないなんて分かりきっている。
人に優劣をつけるべきではない、ということは分かっている。
でも、1番になりたい。
あの子に1番好かれたい。あの子に1番愛されたい。あの子に1番慕われたい。あの子の1番でありたい。
みんなからあの子を勝ち取りたい。
オンリーワンでは物足りない。ナンバーワンの存在でありたいのだ。
「まだ続く物語」 #18
1日、1週間、1ヶ月、5ヶ月―――
あなたをながめて
あなたの名前を呼んで
あなたと手を繋いで
あなたの隣に座って
あなたと寝落ち通話して
あなたを抱きしめて
あなたと話さなくなって
あなたから目を逸らして
あなたで泣いて
あなたに当たって
あなたを悲しませて
あなたが好きで。
あなたと紡いできた物語。もうすぐ半年が来る。
半年、一年、五年、十年―――
まだ続く物語。
「渡り鳥」 #17
あなたはまるで渡り鳥。
寂しい季節には話しに来るのに、そうじゃないときには見向きもしない。
四季みたいに、あなたの心情も定期的に変わるなら私だって少しは安心できただろうか。
いっそあなたの心が、ずっと寂しい季節のままならいいのに。
なんて、あなたの不幸を願っているみたい。
あなたの幸せに、私を含めてほしいだけなのだ。
「さらさら」 #16
ひとつに結わえた、あなたのストレートヘア。
さらさらと、私の指から零れ落ちてゆく。
色白で、たまに少しだけ赤くなる、あなたの頬。
さらさらと、私の頬と触れ合う。
まっすぐで、少し重たいような私の気持ち。
さらさらと、あなたの心から滑り落ちてゆく。
私の愛は、伝わりきってないみたい。
「これで最後」 #15
これで最後にする。玉砕覚悟の告白。
あなたへの気持ちにけりをつけるから。
長かった。
好きになってから1ヶ月と1週間。
好きバレしてから2週間と5日。
日数に直したら38日と19日。そんなに長くないな、と、ふと思った。
自分が好かれてるってことに気付いてびっくりしてたね。ちゃんと告白するって言ったら待ってるって言ってくれたの、嬉しかったよ。
でも、叶わない恋だってことは分かってた。
相手は同性。その上関係はただの友達。
叶わないのを、傷つき傷つけることを覚悟で告白。
なんてことを考えていたのが懐かしい。
私の去年の最高のクリスマスプレゼントはあなただったの。
最後なんてないから。最期までよろしくね。