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5/26/2025, 10:10:22 AM

「君の名前を呼んだ日」 #14

名字、名前、あだ名…
さん付け、ちゃん付け、呼び捨て…
あなたはいろんな名前で呼ばれてる。
でも、あなたを名前にさん付けで呼ぶのは私だけ。

だから、もしも他の人に名前さん付けで呼ばれることがあったら―――



―――私のことを、思い出してよね。

5/25/2025, 1:42:05 PM

「やさしい雨音」 #13

雨が嫌い。昔のトラウマを思い出すから。

雨が好き。あなたと話した日を思い出すから。

2日とも天気は大して変わらなかったのに、前者は酷く恐ろしく、後者はそっと優しかった。

それはきっと、あの人がとても怖かったから。
それはきっと、あなたがとても優しかったから。

あなたの声が魔法となって私の記憶を塗り替えてくれたから、雨音は優しくなった。

5/24/2025, 11:25:56 AM

「歌」 #12

去年の合唱コンクール。
500人の視線が集まる体育館のステージの前で。
私は指揮をした。

震える足、固まる指先、そしてあなたと絡む視線。
そのとき私の心拍数があがったのは、きっと緊張のせいだけではないだろう。

なんとか動かした指先が、みんなに歌を紡がせる。
ソプラノの主旋律、男声の裏拍。
それからアルトの、いや、あなたのハーモニー。

もっとあなたの声に集中したかった。けれど、そうするには少し邪魔が多かった。

だから今度は、私と二人きりで歌ってほしい。

あなたで満たされたいから。
君の隣にいたいから。

5/23/2025, 2:35:45 PM

「そっと包み込んで」 #11

いつも思っていることがある。
好きなのは私だけなんじゃないかって。

告白をした。付き合った。隣に座った。手も繋いだ。寝落ち通話もした。ハグもした。
けれど、あの子が好きなのは私じゃなくて、愛をくれる恋人なんじゃないかと思ってしまう。
私じゃなくてもいいんじゃないかと思ってしまう。

あの子が見てるのは、私ではないような気がする。
それが不安で不安でたまらないのだ。

口を滑らせて不安を漏らした日。
「誰でもいいわけじゃない。あなたが好きで付き合ってるの」
死ぬほど嬉しかった。ずっとぽっかりと空いていた穴が埋まったような気がした。
その言葉が私をそっと包み込んだ。

5/22/2025, 10:21:49 AM

「昨日と違う私」 #10

さて、ここで問題です。

今日の私は、これまでと何が違うでしょう?
私のこと好きなんだから、分かるわよね?

色付きリップ?
私、優等生だから校則違反はしないわ。
前髪の長さ?
寝坊したから寝癖そのままなの。悪い?
スカート丈?
確かにいつもより1回多く折ってるけど…。

残念!難しいもの、きっと分からないわ。
え?答えは何かって?ふふ、教えてあげなーい。



あなたには絶対教えない。言えないから。

あなたに好きって言われたのが嬉しかったなんて。
ずっと片思いだと思ってたのに。なんとなく付き合ってくれてるだけだと思ってたのに。

だから今日の私はこれまでの私と違って
「あなたに好かれた私」なの。

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