「最期に言い残すことはあるか」
「……あなたに出会えてよかった」
「そうか、俺は最悪だ」
君の胸に赤い花が咲いた
『別れ際に』
「虹が見えるまでもうすぐかな」
待ち遠しそうに君が言う。俺はチラッと時計を見た。十六時五十分。通り雨とはいえこの頃日没が早いから厳しいかもしれない。
雨は君の思惑とは違い、十八時過ぎまで降った。すっかり辺りは暗くなっていて、虹なんて現れる気配はない。
「ねえ見て」
君が窓の外を指差した。釣られて目を向ければ、丸々とした月が大きく輝いている。
「月が綺麗」
うっとりと月を見上げる君の横顔。俺は月よりも君にずっと見惚れていた。
『通り雨』
外に出てみれば
澄み切った空気を肌で感じる
少し大袈裟に深呼吸していると
頭に何か当たって視界が歪んだ
足元が覚束なくなってるうちに
木の葉を踏んで滑って転んだ
尻餅ついた後ろ手でつるりと何か触って
摘んで見ればどんぐりだった
銀杏じゃなくてよかったと
心からホッとした秋のある日の話
『秋🍁』
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※フィクションです
一生懸命走る生徒たち
腕を振り上げて応援する生徒たち
楽しそうに見守る先生たち
楽しげな光景から身を引いて離れる男女ふたり
日陰に並んで座りお互い夢中で話してるふたり
そのふたりの死角では泣く子と慰める子たち
離れたところでボール遊びをする男の子たち
あ、今先生に怒られてやめちゃった
ここまで怒号が聞こえてきて私の肩が跳ねた
去年まではあそこにいたのになあ
見学って楽だけどつまらないなあ
あの輪の中で一喜一憂の青春したかったなあ
課題のプリントを埋めるのも惜しいくらい
外が気になって仕方なくて白紙のまま
私は頬杖立て見下げるしかなかった
『窓から見える景色』
頭痛
歯軋り
目の奥の痛み
顔の痺れ
肩こり
腰痛
関節痛
首の痛み
呼吸が浅い
動悸
めまい
肌荒れ
蕁麻疹
暴飲暴食
食欲不振
衝動買い
疲労感
倦怠感
不安感
緊張感
不眠過眠
その他もろもろ
Q.形が無いのにサインを出すものはなーんだ?
A.ストレス
『形の無いもの』