テーマ『幸せに』
一緒にいて、安心できる人がほしい
私を否定せずに、ずっと隣にいてくれる人がいい
怒鳴ったり、大きな声を出さないで
ただ、穏やかに会話をしたい
愛が愛を得るための通貨ならば
愛のない私に、愛を得る資格はないのでしょう
あなたのそばで、毎日時間を積み重ねたい
私のことを嫌いな私を、好きだと言ってくれたあなたと共に
朝に起きて、食事をして、掃除をして
話し合いながら、生活を営みたい
難しいことは分かってる
それでも私は、あなたを望まずにはいられないのです
テーマ『何気ないふり』
何気ないふりをして、歩道でスマホを見る仕草をする
信号のない道路で、車が曲がって来ようとしたから
誰も来ないことを確認して、私はホッとした気持ちで歩き始めた
そこに何かがあるような仕草で、脇道へそっと入る
細い歩道に、ベビーカーが二人連れで向かってきたから
道端を見ると、黄色いスイセンが咲いていた
人を避けてしまうのは癖だけど、道を譲るのは自分のためでもある
誰とも衝突したくない
誰かに道を譲ってもらってまで、我を通すのが怖い
酷く臆病な私だけど
そんな自分を、私はそこまで嫌いじゃないんだよね
テーマ『ハッピーエンド』
続きすぎた幸せは、ただの日常になる
ずっと幸せなんて、あり得ない
幸せは、道端で小石を拾うようなもの
小石を見つけられる目を養えば、きっと
いろんな幸せを断続的に、ちょこちょこ拾えるようになる
それがきっと、『ハッピーライフ』
死ぬときにありがとうって言えれば、きっと『ハッピーエンド』
……なんじゃないかなと、今は思っている
テーマ『見つめられると』
授業中
ふと、視線を送ってみた
ほんの少しだけ、味見するみたいな気持ちで
そう。ほんのちょっとだけの、つもりだったのに
なのにキミが、まっすぐこっちを向いていた
左ななめ後ろの席 窓際の黄色いカーテンが揺れる
目があって、キミがにこってして
視線が逸らせなくなった
全部、キミのせいだ
数学教師に指名されて、課題の答えを言った
終わってまた振り返って
もう一度、視線がぶつかって
今度はニヤッて笑うキミ
……ちゃんと授業聞け、バーカ
テーマ『好きじゃないのに』
「カレーなんて別に、好きじゃない」
と言いつつ
カレー屋さんで、君は美味しそうにビーフカレーを食べていた
「ぬいぐるみなんて、興味ない」
と言いつつ
君の部屋のベッドには、もふもふしたサメとクマとクジラがいる
「君のことなんて別に、好きでもなんでもないんだから!」
そう言いつつも
僕が誘うランチとかゲーセンとか、一緒に来てくれるよね
言葉と行動がちぐはぐな君
そんな君のことが、僕はけっこう好きだ