誰もいない。雲と距離が近い学校の屋上で、いっそ
あの空の一部になれたらと思うときがある。
心にあった明るい火が1つずつ消えていくのがわかる。
それは自分でもつけなおすことはできない。
でもね、そんなときは君がまた1つずつ灯りをつけてくれた。
「大丈夫。一人じゃないよ。俺は、君の隣りに居るから。」
この言葉と存在で、また心が暖かく、幸せになっていくようなきがした。
心の灯火
ピコンっピコンっ
スマホが通知音を鳴らしている。
ポロロンっ
はっと気がついてスマホを見ると好きな人からのLINE。
見るたび顔がニヤけているような、ちがうような…
でもすぐ既読つけたらキモいかな…?怖いかな…?
そういうことをぐるぐる考えていると、またポロロンっと通知音がなる。
ああっ、やっぱ既読つけたほうが…
こうやってうーんと悩んでいるうちにLINEは開けず溜まってくまま。
この幸せな悩みをずーっと抱えたら、な
開けないLINE
「今日のテスト一位は、…」
毎月やってくるテスト返しの時間。
皆、頭が良くて大学はいいところに行く人が多いこの塾で僕はいつも浮いていた。
「△△だ。」
いつものメンツでどんどん順位が並べられていく。
「最下位は、お前だ。」
僕の手に渡ったテストの点は75点。
深くため息が出る。
いくら徹夜をして勉強してもいつも最下位。
ここに完全な僕はいない。
いつも、不完全な僕。
この努力って、いつか報われるのかな。
不完全な僕
朝、彼氏を送り出す時いつもハグをしている。
ふわっとぬくもりを感じた後、少し香水の匂いがして、その感覚が好きだった。
今日は午後から1番の親友と遊ぶ日。
久しぶりに会うから、気合いをちょこっとだけいれて
お気に入りの香水をつけてでかけた。
「久しぶり。元気だった?」
「久しぶり。うん、そっちはどう?」と久しぶりの再会に喜びながらカフェに行くことにした。
綺麗な並木道を歩いていると、今の季節桜が咲いていて
パラパラと散っていっていた。
親友が先に歩きだしてこっちを振り向いた時、あの感覚を思い出した。
いつも、彼氏が身につけているあの香水の。
「ん?どうしたの?」と親友が聞いてきて、わたしは、
「ううん、なんでもない」
と応えた。
なんでだろうね、否定したかったのかな。
だって彼氏が身につけているあの香水は、
私が手作りしたたった一つの香水なんだから。
香水
黄昏時の浜辺は、海の水が空に照らされて光って見えた。足が砂浜に埋まっていく感覚と、心地よい波音がただ脳内に記憶されていく。
「見つけた。」
後ろから低くて聞き馴染みのある声がした。
気づいた時には温かいぬくもりに包まれていて、
なぜか、涙が溢れそうだった。
「え、っと……」
過去のことがフラッシュバックされそうで、なんだか怖くて、言葉に行き詰まった。
「言葉はいらない、ただ…」
"君に逢いたかったんだ"
無意識のまま、私は、
「私も」
と答えた。なんでだろうね、どこか心が満たされていく感覚がしたよ。
言葉はいらない、ただ…