【星空の下で】
今日はなんとか流星群が見えるって、
朝のニュースで言ってた。
興味は無かったけど、丁度、帰り道は
星がよく見えたから観察してみる。
天体観測なんてやった事ないし、
星座にも詳しくないから
ただ眺めてみたけど、
なんだかすっきりしない。
まあいいやと、流れ星に
小さくお願いをして帰宅する。
しばらくして、心にあった
小さな違和感の正体に気づいて、
おもわず呟いた。
あの子と見た星空は、
もっと綺麗だった気がするのに。
──今日の夜ご飯はカレーにしよっと。
【それでいい】
それでいい、というのは、なんだか
複雑な言葉だなぁと思う。
「そのままでいいよ。」
という意味にも、
「本当は他のがいいけど、
妥協してそれにする。」
という意味にも、
どちらにも取れる。
だけど、あの子の
「それでいい。」
は、きっと、
ポジティブな意味だって信じてみるよ。
【1つだけ】
「無人島に、何か1つだけ
持って行けるなら何にする?」
突拍子もない彼女の質問に
わたしは少し戸惑ったけれど、
ちょっと考えて、
「ナイフ…かなぁ…」
と答えました。
彼女は優しく笑って、
案外サバイバルな選択だね、
なんて言います。
同じ質問を彼女にすると、即答でした。
「そりゃあもちろん、あなただけど?」
…そんなの、ずるいです。
そう言いつつも、わたしが
ナイフを選んだのも、
(ナイフがあれば彼女を守れるかもしれない)
という、彼女がいる前提の
理由だったと気づいて、
少し笑ってしまいました。
なかよしふたりの『1つだけ』
「大切なもの」
はァ?「あの子」が大切なもン無くした?
…そンなこと、アタシの知ッたことじゃアないね。
大体御前は、口を開けば
「家族の健康」だの「世界の平和」だの
「大切なあの子」だの、
人の事ばッかりで嫌ンなるよ。
「あの子」が元気無いと御前も元気出ねェとか、
どンだけ好きなンだよッて話サ。呆れちまうね。
…まア、こンな寂れた神社に、律儀に
毎日参ッて来ンのも御前くらいだしねェ。
アタシにお願いすンのも珍しいこッた。
ッたく、失せ物探しは
専門じゃねェんだけどなア。
探してやるから、賽銭は弾ンでけよ。
あと酒も供えときな。
御前、その
「大切なもの」、
大事にするンだよ。
無くしたりしたら承知しないからね。
エイプリルフール。
この日が1年で1番きらい。だって、わたしが嘘をついても誰も責めないんだもの。
『あーそっかw今日エイプリルフールだもんねーw』
これで終わり。わたしがわたしであるために、嘘は必要な手段だった。大袈裟な嘘をついて、みんなに、興味と呆れと嘲りを含んだ目で見られるのが、わたしが存在するという証明になるから。わたしは自分が存在していると信じられる。
でも、4月の1日は、今日はそれが無い。不安で不安で死にそうになっちゃうの。ねぇ、助けて。わたしのこと見て。どれだけわたしのこと嫌いでも、わたしのこと見下しててもいいから、わたしが存在するって信じさせて。
「嘘なんかつかなくても、君のことが大好きだよ。」
……ありがとう。わたしもだいすき。
─────────まぁ、ぜんぶ嘘なんですけどね。
虚言癖いろいろこじらせおんなのこの、
「エイプリルフール」