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5/15/2026, 6:59:08 AM

風に身を任せて生きていた。

昨日は昨日の風が吹いた、今日は今日の風が吹いた。
明日の風のことなど考えていなかった。

朝・昼・晩、朝・昼・晩。
繰り返される時間割、平日通って土日は休み。

なにをした、かにをした。
連絡帳すらまともに書かなかったあの頃。

褒められたことより叱られたこと。
与えられたものより取り上げられたもの。

振り返ってみても、いい性格をしている。
気付いたころには、生きていた。

朝・昼・晩、朝・昼・晩。
義務から権利へ、権利から義務へ。

衣・食・住、衣・食・住。
風に乗って運ばれてはこない。

昨日の風は、今日の風だ。
今日の風は、明日の風だ。

風に身を任せて生きていく。

4/22/2026, 2:10:25 AM

ぽた、ぽた。滴り落ちる雫が、岩の小さなくぼみに池をつくっている。
ぽた、ぽた。小さなくぼみは、かつてはなだらかな平地であった。

ぽた、ぽた。ぽた、ぽた。

雫に岩を穿とうという志はなく、ただ、自然の法則のままに、上から下へと、重力に従って落ちている。
落ちる先を選ぶことはない。どの雫も、岩に落ちれば先に落ちた雫と合わさって、雫としての形は保たれない。
雫は雫ですらないのかもしれない。

ぽた、ぽた。ぽた、ぽた。

それでも、見出せばそこに、雫はあった。
岩の小さなくぼみに、雫がよりあつまって、ひとつ落ちるたびに、ひとつよりすこし多く、溢れてゆく。