お題:傘の中の秘密
6作目
私は雨が降るのが好き。
傘を差せば、私の顔は周りからは見えない。
この、貴方を想って赤く染まる頬を。
私は雨が降るのが好き。
傘を差せば、貴方は私にキスをしてくれたから。
この、貴方を想って開く唇に。
私は雨が降るのが嫌い。
傘を差せば、思い出すから。
この、私を置いていった貴方を。
私は雨が降るのが好き。
傘を差せば、隠してくれるから。
この、雨が降る度思い出して偲ぶ、傘の中の秘密を。
お題:誰よりも
5作目
幼馴染のあなた。
誰よりも仲が良かったのに、誰よりも傍にいて欲しいのに、あの子のものになってしまったあなた。
そんなあなたが、あの子と上手くいっていない事に気が付いたのは、あなたの笑顔があまり見られなくなってしまったから。
そんなあなたが、あの子と別れたと知ったのは、あなたとあの子が話さなくなったから。
そんなあなたを、好きだと気が付いたのは、あなたのことを独り占めしたいと思い始めたから。
つまりは、私はあの子に嫉妬していたの。
だから私は、今日あなたに告白する。
あなたのことが好きだと。
あなたのものにして欲しいと。
あなたを誰にも渡したくないと。
あなたが誰と付き合っていたかなんて関係ないよ。
そんなことを気にして、この先あなたと離れてしまう方がずっと辛いと思うから。
私のことを女として見れないなんて言われたって気にしないよ。
知ってる?
誰かが言ってた話だけど。
最初から恋愛感情で結婚した人よりも、友情から始まって恋愛に発展して結婚した方が離婚率が減るんだって。
つまり親友で幼馴染の私たちなら、一生傍にいられるってことでしょ。
だから、今日私はあなたに告白する。
ダメでも、諦めない。
だから、覚悟しててよね。
お題:バレンタイン
4作目
バレンタインのチョコを渡した時、素直になれずに「義理チョコ」だと伝えてしまった時の、キミの残念そうな顔が頭から離れない。
だから。
明日、もう一度。
もし、「本命チョコ」をこの気持ちと一緒に渡せたら、喜んでくれるかな。
喜んでくれるといいな。
お題:スマイル
3作目
スマイル。
好きな人への笑顔。
上手に出来ているかな。
好きがバレていないかな。
いつか付き合える日が来るのかな。
付き合いたい。
気持ちを伝えるのが怖い。
だから、でも。
好きな人がいる人に、想いを込めたスマイルを見せるのは、とても辛くて、嬉しい。
お題:溢れる気持ち
2作目
「あなたにとっての溢れる気持ちはなんですか?」と訊かれて、真っ先に思い浮かぶものがあります。
それが、初恋、という感情です。
今はもう疎遠になってしまったけれど、小学生の頃私には幼なじみがいました。
引っ込み思案だった私を外に連れ出してくれた、ひとつ年下のあの子。
当時は一緒に遊べることが嬉しくて、一緒にいることが嬉しくて、全く気付いていなかったけれど。
あの子に辿り着けるものが何一つないって気がついたのは、あの子が引っ越してしまってから。
連絡先も、引越し先も分からなくて、知っているのはあの子の名前だけ。
そういえば漢字でどう書くかも、分からない。
だから逢う方法は、もう無くて。
ああ、どうして大人になって思い出すんだろう。
あの子と一緒にいた時のこと、あの子に抱いていた感情。
あれが初恋だったなんて、大人になってようやく気付いた。
あの子の顔を、声を、過ごした時間を思い出すと胸がキュッと締め付けられて、体温が急上昇するような錯覚。
会いたくて会いたくて、訳もなく叫びたくなって、思わず口を塞いで。
夢に出てきたら2度寝して、また夢で会えるかなんてバカなことを考えるような。
そんな。
こんなに溢れる気持ちが初恋だったなんて、今更気付きたくなかったな。