新年
「はあ…なにも、新年だからってこんなに気前のいい着物を着て忍務しなくたって…」
「やっぱりゆうがうらさんもそう思うよねぇ。動きやすい方が楽に決まってるもん。」
新年の慌ただしさは表の世界だけでなく、裏の世界にも波及しているらしい。
とある神社にて毎年行われる祭事に「神具の清め」があるようで、私たちはその警護を任された。
「あ〜あ…人がいっぱいいるからまともに傘も開けないや…。」
不貞腐れたように共に忍務を任された少年はぼやいている。それもそうだろう、不測の事態が起きた際に大事にしないための依頼であるのに、この人混みでは難しいように思える。
「シノビの世も人使いが荒いところは変わらないわね。まあ、何事も起こらなければそのまま帰れるからいいわ。」
「ゆうがうらさんは気楽でいいなぁ…新年はお姉ちゃんと過ごしたかったのに〜…。」
確かに新年早々仕事で呼び出すのはさすがに人を疑いたくもなる。
「泣き言を言っていてもしょうがないわ。しっかりしなさい。」
「はぁ〜い…。」
私よりも背が低い程に幼い彼にとって退屈は天敵だろう。もう少しの辛抱ではあるだろうけれど…有事の際にはちゃんと動いてくれるのだろうか。
『シノビガミ-退屈な新年を過ごすシノビ達の一幕』
星に包まれて
ぼくには仲の良い家族がいる。しっかり者のお姉ちゃんといつも不機嫌なお兄ちゃん、そしてとっても優しいお父様。
冬の寒い日に独りぼっちのぼくを暖めてくれた家族のみんなが、ぼくは大好きだ。
けれど、そんな日々も長く続かなかった。
お父様はある日を境に家に帰ってこなくなった。お姉ちゃんもお兄ちゃんも口を揃えて「何も知らない。」そう言っていた。
すぐに嘘だってわかった。
それからお姉ちゃんは家を出た。理由は教えてくれなかった。けれどお兄ちゃんにもお姉ちゃんが『お父様を探しに行った』
静かな終わり
雪明かりの夜