【星空】
宇宙から帰ってきた宇宙飛行士は、より一層信仰心を篤くすると聞いたことがある。宇宙から地球を眺めることで、その神秘的な経験から神の存在を強く感じるのだという。この宇宙、無数の星たちの中に人間のような知的生命体はまだ見つかっていない。生き物が生きられる豊かな星も見つかっていない。もしかしたら、アメーバとかミクロな生き物はいるかもしれないけれど。
そう考えると、地球は本当に凄い。まさに奇跡だ。もし奇跡が神の所業ならば、神様はいるのかもしれない。私は基本的に神様は概念だと考える派だけど、いるって考えた方が自然なのかもしれないと、星空を見ながら考えた。
【神様だけが知っている】(改稿)
世界史をみてると
神様たちが人間を使って
陣取り合戦をしているように感じる
そう考えるようになったのは
どっかの国の創世神話を聞いてから
曰く
神様が人を造り出したのは退屈だったから
暇潰しに人を造った
物語を編み出すため
だとしたら
悪人も独裁者も
神様の意思の下に生まれたということになる
例えばキリスト教ではユダは悪役だけど、彼がいなければイエスはメシアにならずにただの凄いユダヤ人で終わったのではないか
例えば歴史の波が大きくうねるとき
そこには大抵、英雄や侵略者や独裁者がいる
たくさん人が死に、たくさん人が泣く
物語には悪役は不可欠だし
悲劇は物語の最大のスパイスだから
いずれにしろ悪はのさばるし
常に世界のどっかで戦争している
神様的な存在があるにしろ
それは必ずしも人の味方ではないように思う
世の中を良い方向に変える方法があるとしたら
神に祈ることではなく
人が人を慈しむことだけ
人は儚く病みやすい
闇に沈んだ人の何と多いことよ
ほんと、この世界ろくでもねーな
でも面白い
さすが神様が造った一大叙事詩なだけあるね
今日もまた人は、神の道化を演じる
この滑稽な道化たちの空騒ぎがいつ終わるのか
それこそ【神様だけが知っている】
幕が降りてアンコール
【この道の先に】
アフリカのルーシーから始まった人類の旅
道無き道をひたすら進む 北へ
倒れ朽ちても、なお新しい命が北を目指す
気が遠くなるくらい果てしない時間の末に
やがて道ができる
遊牧民 交易 シルクロード 戦争も
人の歴史は道と共に広がっていった
まるで血管のように張り巡らされた道
それを利用している生き物は人間だけ
空をみるとただひたすらに広く
地上はこんなにも狭く
短時間で移動できる
それを人は便利と言う
道がない世界を想像してみる
この道の先に待っているのが混沌ならば
不便でもかまわない
道の無い世界で
わたしは獣道を迷いたい
【日差し】
焼けつくような強烈な熱が肌を焼く
ひりひりと波の中
はしゃいで疲れて砂の上
目の前を蟹が横切る
生きている!
そう、わたしたちは生きているのだ
確認するように今を全力であそぶ
【窓越しに見えるのは】
ガラスの向こうに見えるは夢
朝の光と共に
霧のように消えてしまう
窓を開けて向こう側へ行けたなら
なにかが少しは変わるのだろうか
そんなことを思いながら
わたしは未だこちら側から動けずにいる
雲にかかる虹
虫取網を片手に虫を探す子供たち
雨上がりの雫にキラキラ光る向日葵
走り回り楽しげに吠える子犬
これはいつか見た夢
いつか見た風景
本当にあった出来事
窓を開けて
両手を広げて飛び込めば
きっと行ける
あの素晴らしい世界へ
だけど
わたしは未だここから動けずにいる