「どうしてこの世界は」
この世界は理不尽なものだ。
優しい人が損をする。
恩を仇で返される。
嫌いな人にも優しい言葉をかけたところで、返されるのは遠慮のかけらもない胸糞悪い言葉。
だから私は「みんなで仲良く」なんて言う教師が大嫌いだ。
いつかの私の担任は、トイレに行くときまで追いかけてこようとする気持ちの悪い男子に「やめて」と言っただけで私を叱った。
「ありがとう」と言わなかっただけで注意された。
私はそいつにありがとうなんて言われたことがないのに。
それどころか、そのとき学級委員をやっていた私に
「学級委員にもなればそうやって人によって態度を変えるところが治ると思ったのに」と言った。
私は投票で学級委員になったというのに。
人によって態度を変えて、エコ贔屓をしているのはお前ではないか。
「どうしてこの世界は」なんて考え始めたらキリがない。
だから今日も「ほどほどに」頑張ることにする。
「君と歩いた道」
家から海へと向かう一本道。
君と何度も歩いた道。
たわいのない話をして、笑い合って、手を繋ぎながら歩いた道。
なんの目的もなく、ただ一緒にいるためだけに歩いた道。
その道を、今日は1人で歩く。
君はあの海の中に消えてしまったから。
「水たまりに映る空」
雨上がり。
大雨の名残とでもいうように大きな水たまりがある。
そこに映っているのは先ほどの大雨なんて記憶にないと言わんばかりの青空。
お気に入りの長靴でそれを踏みつける。
ずっと雨が降っていればいいのに。
「恋か、愛か、それとも」
私はイライラした時、落ち込んだ時、自傷してしまう癖がある。カッターを取り出してぐっと当てる。痛いけど、それが落ち着く。傷口をじっと見つめていると、だんだん血が滲み出てきて、それをそっと舐めとる。鉄の味。最も、鉄を食べたことなんてないが。
時折、あなたの白い肌を見ていると酷い衝動に駆られる時がある。傷ひとつない美しい肌。さらさらと綺麗な心。この気持ちをなんだろうといつも思うが、そんな時いつも思いつく言葉が、「美味しそう」。
いつの日か、あなたが体育の授業で怪我をしたことがあった。小さな擦り傷。心がかっと掻き立てられる感覚。この気持ちは、恋か、愛か、それとも、
「約束だよ」
ある日、あなたと勝負をした。ちょっとしたカードゲームで、買った方が負けた方に一つお願いができるというものだ。私は最初、買った時にはハグでもしてもらおうかなと考えていた。結果は私の勝ち。でも、改めてそれを言うのは恥ずかしくて、つい、あんな変なことを言ってしまった。裏切らないでね、私のこと嫌いにならないで、約束だよ、って。
本当に裏切ったのは私だったのに。