どすこい

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5/12/2025, 1:55:03 PM

「ただ君だけ」
その言葉のなんと甘やかで美しいものか。いつも君のことを目で追い、君の表情に一喜一憂する。いつのまにか、私の世界はただ君だけになってしまったようだった。この気持ちが恋なのだと、君のことが好きなのだと、気がついたのは大分後になってからだったように思う。その理由が同性だったからなのか、仲のいい友達だったからなのかはわからない。自分の気持ちに気がついてからは、私の思いはますます募っていった。君と話すだけで1日が輝いて感じられ、君が他の人と話しているのをみてドス黒い何かが心に立ち込めた。そうやって、自分の気持ちをころころと持て余していた時、他の友達が好きな人に告白するのだと言った。それを聞いて、私はどうしたいのだろうかと考えた。このままただ眺めているだけがいいのか、それともこの思いを打ち明けたいのか。もし君が好きな人ができたと言ったら、きっと後悔するだろうとは気がついていた。しばらくの月日が経ち、とうとう意を決してメッセージを打ち込む。「明日、話したいことがあるから放課後に会いたい。」帰ってきたメッセージはいいよ、と。絵文字付きで。教室の前で君を待つ時間は、永遠にも感じられた。心臓がドクンドクンと早鐘を打つ。やっと出てきた君に向かって「好きです。私と付き合ってください。」と勢いに任せて伝える。君は、少し戸惑うようにえぇ、とうなってから、イタズラっぽく笑った。「じゃあ、返事は3年後ね。」そうやって笑う君に恋をしたのに、その時ばかりはそれが憎らしく感じられた。もっと早くしてよと文句を言うと、わかったわかったと言う君とその日はそのまま別れた。不安に感じていた通り、今もまだ返事は返ってこない。冗談だと思われたのだろうか。クラスの子と楽しそうに話している君を見ると、いつもより黒い感情が積もっていく。私には君だけ、なのに。

5/11/2025, 10:42:48 AM

未来への船。
人は誰しも生涯にひとつの船を持っている。小さいもの、大きいもの、モーターつき、手漕ぎ、それは人それぞれ違う。だけどみんな、同じ場所へ向かって、ただただ船を漕いでいく。生きていると障害にぶつかってしまうこともある。嵐、渦潮、岩礁。航海には危険がつきものだ。それによって壊れてしまう船、沈んでしまう船だってある。また、沈んでいく仲間の船をただただ眺めることしかできないことだってあるだろう。それでも私たちは海を渡っていくのだ。時には港で休んだっていい。進路を変えてみたっていい。そうやって、日の昇る地平線に向かって、今日も舵を切るのだ。