鏡
双子の弟は私にそっくり。
同じ服を着れば親でも見分けるのが難しくなる。
ある時、男子が弟に告白した。
理由は間違えた、だそうだ。
うちの学校は私服登校だから同じ服を着ている私たちを見分けるのは至難の技。
けど、弟にも声変わりの季節がきた。
けど、声が女のような高音域の声に変わった。
いつしか、自分より女の子みたいな弟に嫉妬を覚えた。
私の方が声も高いし顔だって同じなのに、性格のせいですべてが台無しだ。
容姿は鏡を見ているようだったが、中身は正反対だった。
いつまでも捨てられないもの
小さな猫の人形。
それだけは捨てられない。
嫁はこんなの無くても大丈夫と言うが俺にとっては命より大切なものだった。
それは、俺がまだ小学生だったとき母がガンだった。
そんな中で、俺に人形を作ってくれた。
白くて、青い目のかわいい猫の人形。
母からの最後のプレゼントだから。
いつまでも捨てられないものなんだ。
誇らしさ
母は、あんたは私の誇りだよ。
いつもの言葉。
兄弟で出来のいい兄ばかりをひいきする。
けど、兄は酒をやっていた。
裏では不良だった。
だが、喧嘩は弱かった。
だから、元ボクシング世界一の俺は。
兄を守った。
兄はいつも母に対してあいつもすごい奴だよと訴えかけてくれていたから。
喧嘩を売られた兄を守る。
だって、兄は俺の誇りだから。
自転車に乗って
ずっとこいでいる、自転車。
いくら漕いでも変わらない景色。
遠くに電車が見えた、それは動いている。
中には人がいた、弟がいた。
一緒に車に乗っていた弟がいたんだ。
その瞬間、すべてわかった。
死んだか。
けど、弟が危ない気がして駅に行く。
自転車に乗って、坂道を登る。
終点
終点、横浜です。
横浜に着いた。
就活のために神奈川県を転々としている。
けど、仕事は見つからないまま三年、母親に殺された。
きっとお荷物に気を使うのが疲れてしまったのだろう。
私は地獄で、刑を受けるために電車に乗った。
体はボコボコだが、次ですべてが終わる。
終点、○○刑です。