置いていかないで。圧倒的な出会いなんかで勝手に幸せにならないで。はじめに私を悲しませたのはあなただったのにめでたしめでたしって顔しないでください。まだ私は納得してない。
あなたが受けた傷が軽く流されたような気がしている。あの絶望はなんだったの?シンデレラは王子様に見出されてそれでおしまいなの?
悲しい目にあったくせに、それにたくさん触れさせてくれたのに、どうして物語がハッピーエンドになるのですか?平気で人を信じて許さないでかなしいお話だったんだから!ひどい話が終わることなんてないんだから。
私の名前なんて別にいいでしょう。あなたのことを話しています。誰かを思って悲しむってすごく乱暴だね。乱暴で悪かったね!!!!みんなの幸せを願うなら最初からかなしいことがない話をしてくれたら。置いていかないで。ハッピーエンドにならないで。
空はどこにも存在するわけじゃなくて、その中に星があるというだけなんだろう。みんな同じ空の下にいるんだから同じ宇宙に生きているんだから、傷付けあうことなんてなかったらいいのにね。
階下の住人の顔も知らないし、知りたいとも思っていない。なのに世界の裏側のことをネットで聞きました。井の中から大海を知ることができたって蛙に違いはないんだから、遠い空を泳げる日なんてこないのに。
こないのに。こないから。こないので隣の人と仲良くしましょう。なんて言葉でいろんな人が死んでしまうし、悲しい終わりの話も必要になってくる人類だからみんながみんななりのハッピーエンドを迎えますように。虚言。
みんなより自分のほうが劣っているって思うのもいやだけどさ。かといって優れてる側になるのも怖いよね?
「いいなあ。私も貴方みたいに恵まれて過ごせたならよかったのに。」
…って詰められる隙を与えてしまったら傷ついてしまうでしょう。頑張っていないから。うまくいかない人生なんて正直歩んでないし、特別に努力したことなんてないから挫折も知らないし、「精いっぱい頑張りました。それでも駄目で折れました。」なんて言えるふうにやれる才はここにはなかったから。
みんな上等すぎる志を持っていて、努力や才能も「あれだけある人はすごいなあ。自分なんか」って凹んでいるようで。自分に厳しいぶんだけ他人にも厳しく成るんじゃないかなとおもう。当たるとかじゃなくてもね。
「このくらいは普通でしょう。どうして誠心誠意取り組まないの。私でもできるのに。」
そんな言葉が聞こえてきそうな時代だ。どうか自分がとても当たり前にがんばっていること認めてあげてほしいよ。全員のために。みんなえらいね。
内側をさらすのは恵まれているので、怖い。もらったぶんだけ返せてなんかいない。当たり前はちょっと乱暴なキーワードかもしれない。このくらいはね。って思い込みが塊になっている。
この頃は陽がさしたら目が覚めるようになった。っていうのはとっても大切なトピックだ。なにかが人生に入り込んでこれまでの4割くらい食べていっちゃったみたいだ。それがわたしの完成でも。
このくらいは当たり前…当たり前だよねぇ、ってできない側として生きてきたけれども、幾度となく言う側の立場にもたぶん立ってきたんだろうな。怖い。怖いな。世界があって他者が存在してたらどうしよう。クーリングオフはできませんよ。
つらい話ばかりで耳を塞ぎたくなる。手元に落ちる言葉がどれだけ優しくても。かなしい思いをする人がたくさんいるんだからあんまり当たり前に恵まれてることはばれたくないな。前向きに生きたらいいのに。っても思うけれど。
熱帯雨林の中に閉ざされた文明の中には、時間の概念がないところもあるらしいよ?向こう側に向かっていく、向こう側からやってくる、その動きの中に時間を気付かせる材料があるみたいだよ。
街路には電灯が連なっている。ぽつ、ぽつ、って、このひとつひとつがたぶん時間の概念になる。その下を通り過ぎるときのあなたは今のあなたと違うんだよ。それで、折り返したって家には帰れない。うん。帰れない道。
この道の先にどんな未来が待っていて、どんなふうに砂は落ちていくんだろうね?ひっくり返してもう一回ってやれないのは人間だから、なのかもしれない。