欲しいものとかはあるの?色と過去のない世界がいつか絵本の中から得た知識で色付き出すことを笑って受け入れるの?かつて続いた戦争は今では遠くのことになって、あの日見た平和が広がるいつかの夢の中に生きていくだけ。
誰かの払った対価を食い潰してどこまでも歩けるし、高い高いところに立って底なんて見ないまま広い地面を進む凱旋。希望の中に竦んでこの先は一体どこにあって、知識や技術はコウノトリでもないんじゃないかって疑問には蓋をして。
配られた上振れのカードを手放しても誰も救えやしないよ。元から持たなかったならこんな立場じゃなかった。何もいらないよ。
めでたしめでたし!で終わる物語を信用できずに生きることは、どれだけつまらないんだろうって思いながらもそのまま過ごしている。ハッピーエンドの向こう側に幸や不幸があるのなら、物語に『Ⅱ』を求められる悲劇を思ってしまう。
あのとき彼らが頑張って掴み取った平穏は、幾数十年で当たり前のものになってまた振り出しに戻っていく。輪廻転生。ものごとが遍く流転するような不変の悲しみの中で、いつか手を取り合う輪を抜けて一人になれる日を案外救いと呼ぶのかもね。
終わらないものを求めている。ないからいいんだと思うよ。できるだけ真っ白なものを求めながらべたべた握ってるみたいに。
もっと知りたいな。楽しいこと全部を頭の中に詰め込んで、一人きり空の下の世界をみんなまとめて救ってしまいたいな。人の智を超えた存在になって誰かの涙を消せたら生きやすい世界になるんだろうな。
誰もに素敵な明日が待ってるわけじゃないからいらないことを覚えてしまう。悲鳴は鼓膜から離れないし。何十回の幸せに迎えられた道でも誰かへの餞一つで悲惨な場所に思えてしまうから。
明るい今を知りたいな。優しい言葉をすべての人が受け取っていないなら幸せに価値はあるんだろうか?君の明るい今を知りたいな。幸せなことを語られても未来を憂いてしまうからこそまだ幼いんだろう、と、思った。
なんたって浅い繋がりを軽んじていってしまうんだろう。心と心の深いところで絆ぐものばかりじゃないでしょう。「あなたの全てが欲しい!」ほど、どうも欲しがりになれないから。もっと清潔な情をしていたいよ。
奪いたい気持ちがないならこんなに時間を裂いていてらんないよ。これが自惚れじゃあないと自己虐待になっていけないし…。君にとって意味のある時間かなって思っているくらいの傲慢さがないとね。
愛よりは謳ってみたくなるな。『キズナ』って言葉は少し前聞いてちょっと辟易してたけど…苦しい思いを美化するときの常套句は呑まないでいたいね。みんなで苦しむ必要なんてないんだから。
君の手の中で音が踊っている。魔術師みたいだね、って我らながら思っている。別に永遠がなくたって。すぐ悲しいって誰かに傷けられているみたいだけどさ。一人になるのが、下手くそみたいだから、どうにかうまいこと笑顔でいてくれますように。
少し誰かに気に入られなくたって、君の価値が損なわれるわけじゃあないのに。自分がなんなのかわからなくなるなんて、本の中の話だけじゃやっぱりないんだなぁ、とかさ。
そういうのって生来持って生まれたもので決まるの?それとも育ちが悲しかった証左なの?どちらにせよそうでなくてよかったって思うのなら、君を下手に見るような人間だとしたら笑い草だ。