光に手触りがあるってさあ、大体の私たちは、思っているのかもしれないね。あなたのことを掴めないのに、あなたは私たちのことを灼きつけたり、差したり、暖めたり、貫いたり、するし…。
ぬくもりの境界は、優しさの境界は、どこまでいってもみつからなくて迷子になってしまう。いつになったら朝がくるのか、たぶんみんなあんまり知らないまま、眠りにつくんだと思う。きみを慰めるために使った言葉が、境界を超えていないといいな。例えば明日、眠りを閉じるカーテンの向こう側に…、
誰もいないところが好き。そこには自分もいないから。刺すみたいな視線の正体が、刺されるみたいな気持ちだったり、割とある。人に見せたくないものばっかり見られてるような気になって、やったこともないテーブルクロス引きよろしくひっくり返したくなることもある。
もしみんなに何も知られずに頼めるなら何を言うだろう。そういうことを考えたいし、だけどあんまり腹は膨れない。惨めじゃない人になりたい。それって自分次第なんだとも思うけど…、だから、あんまり見ないでね。消えたい気持ちになりたくないし。
子どもみたいだね。身体ばかり大きくなってしまって、でも、そんなのみんながお揃いだもんね。遊具は小さくなってしまったけれど、このままあの高い電波塔の上まで登ろうか。側溝に敷き詰められた桜の花弁に幼い時間を、何時間も、注いだときのことをもう覚えていないと思うけど。
明日は何をしようかって毎日考えてる?目が合ったら微笑むみたいな懐こさを、何にも知らない楽しさを、無くさないで子供でいたいね。こんなこと言って、大人みたいだね。だけど、何でもできるって思ってるよ。
いつになったら放課後になるのかな。生まれてから死んでしまうまでの間に、課されたものから放たれるときって、いつになるの。優しい人になりたいね。壊れるくらい、優しく生きていきたいね。
魔法が使えたら、自分のこと許せるんだと思う?身を切って戦って、偉いねって言われない人がいて、それもどうにもできなくて、ごめんね。代わってあげられないし、そんな力もないし。
いつになったら放課後になるのかな。微笑んでから泣いてしまうまでの間に、使命を忘れていられる戦士が何人いるの。助けてあげられなくてごめんね。それを愛せるような柔らかさもないけど、がんばったね。って、言ってみたいなとは思う。
いつまでこんな日を続けるつもりなの。決まった言葉を貼り付けるしか手立てのないことを、心が入ってないって思われたら悲しいな。受け取ってくれないなら贈りようがない。想われてくれないなら想いようがない。
どこにいったらきみはとびきりの愛っていうのを処方してもらえると思う?出口を塞いでばかりいるの、少しずるいと思うんだよ。本当は昔流された木々が積み重なってできたダムなんだと思うけど。なんか、ごめんね。なんの力もなくて。
大切にするなんて片棒を担いだって、きみが抱えられないなら無理な話なんだって知ってるよ。今は世界一きみにいい人でいることにする。笑っていてね。なんて、とてもじゃないけど言えなかった。