意味もなくむしりとった。
咲いているシロツメクサ。
じゃらす予定のない猫じゃらし。
その辺に生えてたススキ。
タッチしてみたもののおじぎしなかった名前も知らない雑草。
ちょっと遊んで、なんならむしったことに満足して、その辺にポイッ。
今思うと、情緒もクソもなく、なかなか残酷なことを平気でしていたと反省する今日この頃。
もしもタイムマシンがあったなら。
ザク、ザクという音を聞きながら、ぼんやり考える。
もしも、タイムマシンがあったなら。
積み上げらていく砂の山と、ワイワイとはしゃぐ同級生達。
もしも、もしもタイムマシンがあったなら。
過去に戻れるとしたら。未来に行けるとしたら。
「出てきたぞ!」
当時は聞くことのなかった低音が耳に飛び込む。
ハッと顔をあげれば、いつぞやに埋めた鉄の塊。
もしもタイムマシンがあったなら。
きっと、私はなにもしない。
タイムパラドックス。身の危険。未知への不安。
空想的な物事に対して、そんな現実的なことを考えて尻込みする。
非現実よりも今の安定を優先する。
私はつまらない、そして立派な大人になっていた。
どうして、願いを捧げるのは星なんだろうか。
「星に願いを」という曲があるし、七夕でも願い事を書く。
なぜ、月に願いをかけないのだろうか。
うさぎじゃ頼りないから?
遠くから音がする。
学校特有の、一定のリズムを繰り返す、チャイムの音。
毎日のように聞いていたあの音とは、なんだか高さが違うような気がするけれど。
顔を向ければ、風が頬を撫でる。
風に乗って、音が届く。
あの音のもとで、見ず知らずの子ども達が、私の知らない青春を過ごしている。
ところにより雨ってなんだ。
そんなこと言ったら、「ところにより晴れ」だって、あって然るべきだろうが。
降り続く雨を見つめながら、頭の中で文句を言う。
傘を忘れた。いつもなら鞄に入れっぱなしになっているはずの折り畳み傘もない。
相合い傘やら置き傘やらで、とっとと去っていく人々を恨めしげに眺める。
名前のない、誰かのビニール傘を拝借(という名の窃盗)をする気もない。
あーあ、なんか良いことないかなぁ。