去年はマフラー着て手を繋ぎながら君と来た
君は無邪気に笑うからこっちまで嬉しくなって
それは寒い寒い冬の日で
外は雪が降っていたから
一緒に雪だるまをつくったっけ。
今年も君と行きたい
寒い中カイロで温めておいた手を用意してさりげなく繋ぎたい
「今年は去年よりもっと大きな雪だるまを作ろう」
って言いたい
だからずっと待ってるんだ
雪が降ることも
あわよくば君から誘って貰うことも。
『雪を待つ』
『推し』というのはなんとも不思議な存在で
私の他にも好きな人はいるのだろうに自分が一番好きと錯覚する
推しへの愛が強いせいか
はたまたこれは私だけなのか
愛を注げば注ぐほど
また好きになる
それが抜け出せなくなる頃には
貴方の虜になっている合図かもしれない
『愛を注いで』
仲間
それは選べるものではなくて
この人はこんな事しないだろう、この人にならこれを言われても許せる、と
思った時に初めて
仲間が出来るんだと思う
互いに高めあえるライバルみたいな存在
いつか私もそんな人が来るだろう
ふいに手を握られた
びっくりして君を見るとちょっと照れくさそうに笑っていた
私は苦笑して手を握り返す
でも嫌ではなかった
むしろ嬉しかったんだ
君から手を繋いで来てくれることは今までなかったし、私もそれは理解していた
恋人どうしでは当たり前のようなことかも知れないけど私達はどこか違った
手を繋いで歩くことは今の私を世界一幸せな気分にさせた
このまま時が止まればいいのに、と思った日であった
「手を繋いで」
病院のベッドでぐったりと横たわる君
ついこの前まではあんなに元気だったのに
君との思い出が走馬灯のように出てきた
赤く腫れた目をまた涙が濡らす
ハンカチはぐしょぐしょで使い物にならなかった
どうして救えなかったのか
自分の身を犠牲にしてまで私を守ってくれた
悔しくてしょうがなかった
1度でいいから目を覚まして欲しい
声を聞かせて欲しい
そんな願いが届いたのか
うっすらと瞼が開いた
言いたいことは沢山あったけど
これだけは言う
「ありがとう、ごめんね、」
君は少し笑みを浮かべて
また瞼を閉じた
もう二度と開くことは無かった
「ありがとう、ごめんね」