夏の繁忙期の打ち上げが終わって
二次会も終わって
気がついたら
二人きりで
お互いどっちの駅かも知らなくて
聞かれもしないから
聞きもしなかった
ただ川沿いを歩いて
しばらくして
並んで座って
話したりして
蚊に刺された
立ち上がって手を差し出されて
その手を取って
また歩き出す
川沿いを上流に向かって
一駅分
三条大橋の烏帽子が並ぶ
時刻は0時半を過ぎた
終電はない
蚊に刺された腕を掻きながら
「もう、帰らなくてもいいかな」
と呟いた
「痒い?」
聞いてないフリで聞かれた質問に答える
「痒い」
川沿いから路地裏に入り
「宿泊」の文字が目に入る
夏のせい
#62「真夏の記憶」
「あ、アイスクリーム食べたい」
って言葉で蓋を閉めた
キミの隣のあたしの気持ちは溶け出して
こぼれそう
だから
「アイスクリーム食べよ」
って、帰り道にコンビニに寄り道
いつだって会える距離なのに
「またね」がいつかわかんない
#61「こぼれたアイスクリーム」
一喜一憂ツギハギだらけ
今日も晴れててうっとおしい
鬱々気分で精一杯
見えない敵と戦って
あなたの声が聞きたくても
悟られまいと気にしてる
片想いって美しい?
あなたの気持ちは知りたくない
今日のあなたは幸せですか?
リアルな私は不幸です
不幸の数だけ当たるレアリティ
揃えたキャラは育成できず
中途半端なイベントに
参戦しても微力です
ゲームな人生
人生ゲーム
人選しだいの気分しだい
あなたの声が聞きたいの
近づくほどの勇気は無い
四角い箱で滅入ってます
編成ボーナス大歓迎
分け合う報酬魅力です
あなたのバディは何ですか?
食べ損ねた夕飯もう深夜
私の声がうるさいの
頭の中の劣等感
いい加減な私でいいですか?
嘘つくことすら面倒だから
正直者でおバカなの
#60 「またいつか」
学生の頃から
作文や読書感想文は得意だったのに
日記は嫌いだった
社会人になってから
日報を書くのは嫌じゃなかった
でも、日記を書くのは相変わらず
嫌いだった
今日の私も日記を書くのが嫌いです
ついでに予定を埋めていくのも嫌いです
#59 「私の日記帳」
キミと日々ほんの少し
文章でやり取りすると
まるで鏡の前にいるかのよう
心と心を向かい合わせて
照らし合わせている
そんな気持ちになる
今日のキミは元気ですか?
何か変わったことはありませんか?
嫌なことはないですか?
楽しく過ごせていますか?
好きなものは増えましたか?
ほんの少しずつの
言葉のやり取りだけど
優しくて心地好い世界の共有
希望の確認
楽しくて
うれしいね
そして今度
会った時は隣にいてね
歩きながら
お茶しながら
たくさん話そう
笑い合おう
#58「向かい合わせ」