あなたがすき

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11/25/2024, 10:43:59 AM

曇った緑色の光が部屋中を照らしている。夏だからか小バエが飛んでいて、閉め切った部屋の中でどうにも蒸し暑い。まるで生きたまま火葬されてるみたい、なんて不謹慎なことを思いつつ鈍く光る器具を机に並べていく。少し錆び付いていて、慌てて刃を交換するために新しい器具たちを消毒する時間を要した。まだ、午前2時だった。
金髪の映える真珠の様な肌の女。瞳の色は見えない。ゆっくりと上下する胸だけが彼女が人形ではない証拠だった。
青ざめた薄い肌の上を小さな刃で軽く撫でると遅れてプツリと血が滲む。ミルフィーユのように重なる玉の肌、薄らとこびり付く黄色い脂肪、引き締まった腹筋。傷の両側を鑷子で挟んでゆっくり開く。すると存外美しい内側が見えた。赤黒く、てらてらと光の反射する繊細な蜘蛛の巣のような、または古びた上等なレースのような膜の下、生々しい香りを放つ腸や丸い臓器達がいる。慎重に膜を切ると獣臭い匂いが部屋中に充満した。こんなに美しい女でも、やはり切り開いてみれば案外動物だと実感できる。サイズのピッタリな手袋をつけた手を腸の隙間に差し入れる。ぐちゅりと音がして、生暖かい液体の感覚をゴム手袋越しに感じて顔を顰めた。何度やったって気持ちの悪い感触だ。生を感じた。太陽の下に手を翳さなくったって誰かの体温を感じた。
じわじわと冷房が効いて来たのか、気がついたら少し肌寒くなってきた。手に触れる粘液だけが温かだ。体の中をほじくり返して目的の臓器を掴む。ゆっくりと引き抜いて、鉗子で掴むとそのまま体の上に置いた。内側に仕舞われているものが肌の上に置かれている倒錯的な光景に脳がクラクラしそうだ。乾かないうちに急いで血管なんかを糸で結んだ。未だ興奮の最中震える手で。足元のペダルを踏んだ。焦げた匂い。パチパチと弾ける音。煙。死んでゆく細胞。分離した。
こんなにも簡単に切り離されてしまった。
切り離されたこれははたして彼女だろうか?
開けられている内側に液体を垂らす。初めから逆再生する様に一枚一枚丁寧に膜を戻して、結んでいく。閉じればまた人形と見紛うような美しさ。
蛾と蝶は何が違う?何も違わないだろう。なら人形と彼女も何が違うだろう。このまま喉の奥に差した管を止めてしまえば人形になるだろうか。なんて、馬鹿らしい。突然鳴り響くアラームに驚いてモニターを見れば少しだけ体温が下がったのか、波形が乱れていた。
生きている。彼女はたしかに生きていた。なぜだか涙が出そうだった。グロテスクな中身を持ちながら、美しい皮を被って生きている。それがすこし恐ろしい。
ねえ君は枯れた花をそういうものとして愛せるのに、完璧でいたいんだね。変わり続ける中身と裏腹に変わり映えのない彼女をわたしは愛し続けられるだろうか。それは同じ彼女と言えるだろうか。焼ける骨の匂い。鼻の粘膜にこびり付く甘い匂い。それは彼女の好む香水によく似ているような気がした。太陽の下で咲くあなたは以前と同じ笑顔を浮かべるのだろう。

蝶よ、花よ、あなたよ。


外側は何にも変わらないのに、じつは失った中身に記憶が宿っていて、少しずつ忘れていく何かや変わっていく何か。という妄想に囚われて恐怖しています。愛してるはずだったのに、ほんとうにそれが以前と同じなのかわからない。絶対そうだという確証もない。太陽に翳せば透けて見えるでしょうか。生きているという神秘。

太陽の下で

11/24/2024, 3:15:36 PM

忘れてしまうなら
はじめから無くてよかった
知ってしまうなら
いなきゃよかった
変わらないままがいいよ
綺麗なだけでいいよ
なんだか広くて
どこに行けばいいのか
ほんものの私はどれだろう
引っ張って探そうとしたら
解けて何も無くなった
取るに足らないことでほつれてゆく
編み込んだ幸せに縋り付いてる
廃退を繰り返して感情的になって
愛情ばかりでは生きていけなくて
馬鹿らしいと思うかな
きっと

ただ毛糸玉を転がしてもセーターにはなれないでしょう。


日々を編み込んできたからいま生きている。でもほんの些細なことで解れてしまう。なんにでも自分を当てはめて考えるのは安直すぎるとは思いますが、客観で生きていられるなら何度だって書きます。主観では傷つけてしまうばかりで。もっと小さなものに目を向けて、もっと単純なことに美しさを見つけたいなと思ってます。

セーター

11/23/2024, 12:04:54 PM

落ちてゆくのか
昇ってゆくのか
わからない
正しさを知ってるあなたは
不正解を押し付けている
落ちてるのではなく昇っている
死ぬために生まれている
眩しさが救いだとは限らない
落ちてゆく私の木の葉は舞うかしら
誰かの命へ巡るかしら
真っ暗な場所へどうか
おしまいにして

温もりに突如として侵略する冷たさに身を震わせて、
その時初めて産湯に浸かっていることに気がつく。


fallは木の葉が落ちることから名付けられ、秋の日はつるべ落としと言われるように、秋は何かと落ちることに焦点が当たっています。でもどの時間が正解かなんてわからないのに落ちるというのは面白いですね。日が長い方が異常で、木の葉もついていない状態が正常なのかもしれないのに。落ちているのではなくあるべき場所に帰っている。
むしろ生まれる方が異常なのでは。

落ちてゆく

11/22/2024, 1:19:12 PM

認めたっていう自己満だけで評価して
実際に見たら異質そうにするくせに
多様性なんて言葉で簡単に括らないで
夫婦なんて誰かの承認が必要ないとなれないなら
ならなくていいよそんなもの
あなたと一緒にいられたらそれで

忘れられないものが苦しみなら、まるで拷問みたいな人生

夫婦

11/21/2024, 10:59:42 AM

どうすればいいの?
どうすれば良いか聞きたい?
誰かの言葉に従いたい?
真似をして同じ顔で群れているのは楽でしょう
でも何かに屈し続けるのは苦しいでしょう
言い訳ばかり考えて進めないのは誰もが同じ
音色のない楽器を愛する人はきっといる
動かない時計を愛する人もきっといる
でもゴミを愛する人はいない
死んだ人間の骨は愛せるのに
本当にそれがゴミじゃないかなんてあなたの価値観
結局はすべて心の病
ファーストペンギンになんてなれやしない
責任から逃れていたいのは生への執着
愛や記憶やそれらへの固執
生まれついての生き汚なさを愛していても
すべて妄想なのだよとは誰も言ってはくれない
生きたかった誰かがいるのだと言うけど
誰かの代わりに生きる人生は一体誰のもの
死に絶えた生を食い潰す日々に息が出来なくなる
どうやらここは天国らしい
優しい人の殺し方をよく知ってるようだ
死んでくれ
死にたかった私の代わりに誰か死んでくれよ
そこまで言うならお前も
死んでみてからなにか言えよ
ねえ
死にたいと思えるならまだ生きていたいはずきっと
縋ってたい、他人に夢見ていたい、救われたい
そうでもしないと生きていけないのか
ずっと水の中にいるのに呼吸の仕方も忘れてしまった
まるで金魚みたいだ
考えてることぜんぶ素敵に伝えられたらいいのに
不格好でぐちゃぐちゃでまるで意味のないことばかり
肯定していたいけど脳みそが錆び付いて働かない
嫌になる
どうすればいいかなんて誰にもわからないのに
だれかに責任を押し付けたいから正解なんて嘘を求める
だれもかれもが道に迷って
ほんとうは助けを求めていたいはず。
金製のハートに王水の涙。
清潔を愛しても上辺だけだ
鬱々とした自分を隠そうとするほど薄っぺらな良心を引き延ばした偽善ばかり滲んで駄目になる
うまく言葉が出てこない
良い時と悪い時があるけど殆どが悪い時だ
嫌な言葉は聞いていたくはないけれど
私の言う通りになって欲しかっただけなんじゃないか
心なんていらないんじゃないか
主観で生きていたら人を否定しないと気が済まなくなってしまうし、聞きたい言葉以外は許せないし。
誠実に生きていたい
何にも出来ない人間になりたくない
死にたくない
誰かのために生きられるならどんなに良いだろう
嘘ばっかり

本当に望むなら、そこに確かな理由は要らなかったんだよ。


脳みそから直接垂れ流して文章を出力していると、意味のわからない事ばかりになっていくのが面白いです。獣が理性を語ったところで所詮真似事だ。残虐性を秘めることが理性なら壊したい衝動こそ本性。綺麗になりたいんですわたし。

どうすればいいの?

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