秋や冬よりも、春がいちばんもの悲しい。
目に見えている終わりよりも遠く、
まるで永遠のような顔をしたものが次々死んでいく。
失っていくばかりを過ごすのはとても切ない。
夕暮れ時、枯葉の散る季節よりもなぜだか
咲き始めた花に舞う蝶たちがたまらなく哀愁を誘うのだ。
突然足元に穴が空いたような空虚感こそ哀愁。
春がいっとう好きです。待ち遠しいです。でも始まった途端終わってしまうことを認識してしまって辛いです。好きなシリーズの最終章、イベントや祝日の朝。哀愁を誘います。
哀愁を誘う
人は単独では生きていけない
人が個食をする様になったのは最近らしい
群れで生き食事を共にする生き物だから、個食よりも誰かと食事をした方が美味しい。だから鏡を前に置いて食事をすると少しだけ美味しさを感じやすくなるようだ
鏡は私を映す
醜さも美しさも包み隠さず
本当の私をいつだって見つめてくれている
鏡の中の自分だけがきっと心を癒すだろう
握る手さえないけれど、瞳だけは雄弁に。
昔から研究されている分野みたいですね。孤独には耐えられないように作られている生き物ですから、せめてわたし自身だけはわたしを愛してあげたい。醜さこそ生きている証なんですから。綺麗なだけなんて彫刻でじゅうぶん。
鏡の中の自分
ときどき太陽を見失う
その時はじめて気がつく
私がどこを彷徨っていたか
本当に目覚めているか分からないんだ
どこから本当でどこから嘘か
ロシナンテに乗って夜に飛び出す
花に誘われた蝶のように
トゥランの娘かサロメか
愛がどこに宿るのか眠りにつく前に教えて
細胞の一つ一つに心があるの
胎児の夢よりも見た幻みたいな現実で
何を失っていたか
覚めない不安感と生まれ落ちた罪悪感。
海に戻った鯨たちの孤独を思うと切なくなります。彼らの孤独が解るのはきっと夢見る人たちだけです。愛はどこに宿るのか、本当とは何か、鯨さえ捨てた地で私達は何処へ向かうのか。考え続けていたいです。
好きな小説や戯曲のドン・キホーテ、胡蝶の夢、トゥーランドット、サロメ、ドグラ・マグラ、52ヘルツのクジラたちを入れてみました。
眠りにつく前に
永遠なんて一口齧ればなくなってしまう
穴が消えてもドーナツなら
外側なんてなんでもいいの
穴が空いてこそドーナツなら
内側以外はいらないじゃない
心残りが私を作る
過去を噛んで未来を生きる
ぐるぐる輪っかになっていく
不完全を完璧と呼んだ
わたしたちまるでドーナツね
永遠に回る輪っかの始まりはどこだ。
永遠は終わりが無いと永遠でいられないと思うんです。欠けているものが見えるから完璧ではないとわかるように、ドーナツの穴だって無ければ完全にドーナツだと言い切れない。心に空白があるからこそどうにかそれを埋めたくて生きていられるんです。
永遠に
あなたには選ぶ権利が与えられている
あなたは自由を選択できる
あなたはそれを拒絶できる
あなたは全てを理解している
あなたは不自由を選択している
喰んだ草の命はどこにあるか
蜘蛛の糸の先には何があるか
振り向いた道には何がいるか
離れた視点の向こうで何を見るか
あなたは選び続けている
ここはあなたの理想郷。
知能ある生物としての尊厳なんて馬鹿馬鹿しい。評価や法や倫理なんかで雁字搦めになったのに幸福を夢見てしまう。ただの動物でいるだけで苦しいなんて、素敵な進化があったものですね。他人の家畜になるために生きているみたいな理想郷。でもそれを選んだのは間違いなく私だったはず。
理想郷