宝物は、私が宝と思ったものがそうであって。
ええ、もしかしたら。
ええ、そうね。
コレは、貴方から見たらゴミかも知れないけれど。
燃えよ、燃えよ、盛えよ。
この灯火は、我が心情。業火の如く。
小さな炎と侮るなかれ。
小さな炎と言えど、貴殿を魅せることは充分よ、容易きことよ。
ええ、ええ。
ご覧なさい、怯えるならば、近づきなさるな。
しかし、手に入れたいなら怯えなさるな。
我が心情は、まだまだ燃え咲き足りぬよ。
ぜひぜひ、我に、恋という業火を教えてくんなませ。
想い出をたくさん、たくさん積み上げれば、私の財産になると、どこかの誰かが言っていた。
もし、もしもよ。
その積み上げが積み木のようだったら、財産にもならないじゃない。
だって、崩れればお終いじゃない。
積み上げたものが財産ならば、崩壊すればそれは遺産になってしまうじゃない。そんな想い出は残るだけよ、価値もないの。
そう思わないと、やってはいけないの、私。
……間に受けないで頂戴ね。もしもの話よ。
ただのジョークよ。
冬になったらようやっと、彼と長い時間を過ごせるの!
夏はダメね、彼ってば熱烈すぎるわ。
身を焦がすほどの恋とは、このことね!
ふふ、いやね!焦がすのではなくて、溶けるでしょうって返してちょうだいな!ね!
……私は雪だから、冬にしか会えないわ。けれどね、私にあんなにも熱烈な視線をくれるのは、貴方だけなの。
誇りに思って、お願いだから。
雨なんか、降らさないでちょうだいね。
「どうぞこのわたくしめを、悲劇の主人公であると、哀れみなすってくださいませ!」
自身を主人公と呼ばせられますこの方は、自分が一番、ええ。この世で一番不幸であられます姿を、皆々様に見せて差し上げたく思っているようでして、はい。
ええ、悲劇も喜劇も等しく、エンターテイメントと括られますからなぁ、仕方のないことにございます、はい。
しかし、しかし。この悲劇なる主人公に舞い降りました、悲劇はなにかといいますと、はて。
そこに居ますは、悲劇なる主人公の愛しき人……でございますか⁉︎あれあれ、なるほど!この悲劇なる主人公のテーマは、愛しき人と今生でははなればなれになってしまわれたと、そう言った趣向で?
は、はぁ。確かにそれは悲劇だ。しかししかし、きっとこの劇のオチは、ハッピーエンドとなるでしょう!御涙頂戴からのハッピーエンドは、エンターテイメントとしては王道中の王道でございましょう?