貴男が時々口ずさむメロディ。
残念なことに毎回ちょっとずつ違うので、聴いたことがあるような気がするけど確信が持てなかった。
初めてその事についてきいた時、貴男は「え?」って驚いて「歌ってる?」って逆に聞き返されたっけ。
「うん、ホントに時々ね。歌詞ってあるの?」私がきくと、「あんまりよく覚えてないけど、最後が『きっと明日はいい天気』っていうんだ。」
「もしかして、『○○(曲名)』?」私には心当たりがあった。幼稚園で習った曲だ。でも貴男は「タイトルもわかんない。」って顔を曇らせた。
私がサビのところを歌うと、貴男は「あぁそれ!」と笑った。それから保育園で習ったこと、その頃音痴を自覚したことを楽しげに話してくれた。
でも今の貴男がこのメロディを口ずさむのは、つらい時やこらえなくちゃいけない時だって私は知ってる。私も同じだから。
人にきかせるのではなく、自分に言いきかせるように、小さな声で口ずさむ。
いつか2人で幸せになって、何のうれいもなく、子供の頃のように思いっきり大声で歌えたらいいね。
「きっと明日はいい天気」って。
お題「君の奏でる音楽」
現在麦わら帽子と言えば「海賊王」を目指す少年だろうけど。
私は『赤毛のアン』のアンや『大草原の小さな家』のローラのような、異国の三つ編みのソバカスのチャーミングな少女がかぶっているイメージがある。それもつばの広くないカンカン帽。
その帽子をとばされないように片手で押さえながら、走ってこちらに向かってくる、古い時代に疑問を持ちながらもたくましく生きる少女たちだ。
あくまで私のイメージで、本当の素材はちがっているのかもしれない。ローラにいたってはサンボンネットをイメージされる方のほうが多いかもと思う。
ところがだ、少し前の日本では、そのカンカン帽が紳士のかぶりものだったと知った時の衝撃たるや。
挙げ句今の私はストローハットをかぶってすることといえば、狭い庭の草刈りの時くらいだ。
アンやローラのように三つ編みを揺らして草原を駆け巡るなど、遠い憧れのまま一生叶わない夢と諦めている。
お題「麦わら帽子」
東京からやってくる下り列車の終点が僕の住む町の駅だ。
でもこの町で生まれ育った僕らにはこの駅が、この駅こそが起点であり僕らのスタート地点だ。
いつかこの町を出て、この町が僕にとっての故郷になっても、ここから始まっていることに変わりはないんだ。
お題「終点」
お願いしても、「無駄にするからダメ」ってママが言うから、パパにお願いしてみた。
だって同じ幼稚園のあっくんは上手にできたんだってさ、卵をパカッて。目玉焼き作ってもらったって。僕だって!
そしたらパパが僕の朝ご飯を作ってくれる時に、僕を呼んで、「卵、上手に割ってくれるかな?」って言ってくれた。
ようし。ドキドキする。
パパがお手本を見せてくれた。パカッて上手に割れてかっこいい!
んと、卵をコンコンてして、両手の親指をヒビにそっとあててちょっとずつ、そっと押すように…
グシャ…
わーん、殻はぐしゃぐしゃ、黄身もぐちゃぐちゃ。
僕は泣きたくなってパパを見上げる。
「大丈夫大丈夫。はいもう1コやってごらん?今度はうまくいくさ。」
今度こそ。
グシャ…
僕の目から涙がこぼれた。何でそっとやったのに。
何でパパみたいに上手にパカッて割れないの?
パパはしゃがみこんで、僕の目の涙を拭ってくれた。
「泣くことはないんだよ。何だって最初から上手くいく人なんていないんだ。上手くいかなくたっていいんだぞ。何回も練習してできるようになればいいさ。」
「ずっと上手になれなかったら?」
「その時は、残念だけど目玉焼きは諦めて、オムレツ、スクランブルエッグ、オムライスに出汁巻き玉子、かき玉汁とかいろんな料理に変えちゃえばいいんだよ。臨機応変っていうんだぜ。」とパパは答えてくれた。
「リンキオーヘン?」
「そ、臨機応変。じゃ、さっきの卵はどうしようか?」
「僕、オムレツがいい!」
「了解しました。じゃお皿を準備してくれるかな?」
僕はパパの作ってくれたオムレツを頬張りながら、次はパパみたいにパカッて卵を割るぞって決めたんだ。
お題「上手くいかなくたっていい」
Sorry, I can't think of anything.
I'll try someday.
お題「蝶よ花よ」