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お願いしても、「無駄にするからダメ」ってママが言うから、パパにお願いしてみた。
だって同じ幼稚園のあっくんは上手にできたんだってさ、卵をパカッて。目玉焼き作ってもらったって。僕だって!

そしたらパパが僕の朝ご飯を作ってくれる時に、僕を呼んで、「卵、上手に割ってくれるかな?」って言ってくれた。

ようし。ドキドキする。
パパがお手本を見せてくれた。パカッて上手に割れてかっこいい!
んと、卵をコンコンてして、両手の親指をヒビにそっとあててちょっとずつ、そっと押すように…

グシャ…
わーん、殻はぐしゃぐしゃ、黄身もぐちゃぐちゃ。
僕は泣きたくなってパパを見上げる。
「大丈夫大丈夫。はいもう1コやってごらん?今度はうまくいくさ。」

今度こそ。

グシャ…
僕の目から涙がこぼれた。何でそっとやったのに。
何でパパみたいに上手にパカッて割れないの?

パパはしゃがみこんで、僕の目の涙を拭ってくれた。
「泣くことはないんだよ。何だって最初から上手くいく人なんていないんだ。上手くいかなくたっていいんだぞ。何回も練習してできるようになればいいさ。」
「ずっと上手になれなかったら?」
「その時は、残念だけど目玉焼きは諦めて、オムレツ、スクランブルエッグ、オムライスに出汁巻き玉子、かき玉汁とかいろんな料理に変えちゃえばいいんだよ。臨機応変っていうんだぜ。」とパパは答えてくれた。
「リンキオーヘン?」
「そ、臨機応変。じゃ、さっきの卵はどうしようか?」
「僕、オムレツがいい!」
「了解しました。じゃお皿を準備してくれるかな?」


僕はパパの作ってくれたオムレツを頬張りながら、次はパパみたいにパカッて卵を割るぞって決めたんだ。



お題「上手くいかなくたっていい」

8/10/2024, 3:52:51 AM