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5/16/2024, 3:18:53 AM

君を泣かせた


お題「後悔」

5/14/2024, 11:49:11 PM

仕事も人間関係もトラブル続きの1週間だった。 休みはやることがない。家にこもっているとモヤモヤが増幅しそうだったので、少し離れた小さな公園に散歩に出た。
途中で寄ったコンビニで、缶コーヒーと売れ残りのシャボン玉セットを買った。

そうだった日曜日ってことを失念していた。
小さな公園でも何人かの家族連れがいた。
「ここまできたしな。」
俺は諦めて、暑いくらいの誰も座らないベンチに腰掛けコーヒーを一口飲んだ。
そしてさっき買ったシャボン玉を吹いた。
コーヒーの香りとモヤモヤの混じったため息で満たされたシャボン玉が、風にその身を委ねてフワフワと空へのぼって4秒くらいでパッと壊れた。


遊んでいた子供たちが向こう側の日陰のベンチの母親らしき女たちに何か言ったと思ったら、こっちに来た。
「うわっ何」俺は困惑した。
「おじちゃんシャボン玉もっとやって!」
「たくさん!」
「もっともっと!」
女たちの方を見ると、中の1人が「すみませーーん」と大声で言った。どうやら相手をしろということらしい。

おじちゃん?俺27だぜ?
っつーか、知らないおじちゃんとしゃべっちゃいけないんでねぇの?とも思ったが、不審者扱いよりはマシか。
仕方なくシャボン玉を次々に作った。
子供たちはシャボン玉をひたすら追いかけてその小さい手で何個も叩き潰した。子供たちの攻撃からの逃げ切ったシャボン玉が1つ空へ上った。
酸欠になりかけた頃には、何だか俺の吹きこんだモヤモヤモも叩き潰されたみたいで、気持ちが軽くなっていた。
シャボン玉セットの未使用の残りを子供たちにやると、俺は女たちのほうに軽く頭を下げて公園を後にした。




お題「風に身をまかせ」

5/14/2024, 3:37:56 AM

ほら、私たちの若い頃って結婚イコール寿退社だったじゃない?仕事辞めて家庭に入ることが当たり前で、うちもご多分に漏れず家庭に専念するよう言われたわよ。
ごはん作って亭主の帰りをまって、そのうち子供もできて、子育てして。
そうせざるをえなかったのもひっくるめて、どれも自分が決めたことじゃない。
そういう幸せが「女の幸せ」っていう時代だったんだから。

同世代の女が集まるといつも同じところに着地する話だ。
そしてすぐ別の話に移る。
おばちゃんたちの会話はとめどないのだ。



年輩女子会からの帰り道、ふと考える。

今の若い女性のように仕事も家庭も子育てもすべて手に入れたところで、私の性格ではどれかをないがしろにしてしまうだろうから、彼女たちを羨ましいとは思わない。
けれど、もし若い私がすべてあきらめない選択をしていたら、違う幸せを得ていたのだろうか。





お題「失われた時間」

5/13/2024, 3:52:10 AM

恩師が亡くなったとの知らせに、私と一緒に暮らす男はスマホを落とした。
高校の時、自分を見放した実の父親よりも、最後まで見捨てずに親身になって導いてくれた人で、「お前にも会わせたいんだ」と言うので、私も一度会ったことがある。おりにつけ、その人のことを聞いていたから、お目にかかった時、初めましてと言い忘れるところだった。

「こいつと一緒になろうと思っていて」と男の気持ちを初めて聞いたのもその時で、その人が「この子は馬鹿だけど本当にいいやつなんです。よろしく頼みます。」と私に深く頭を下げたものだから、私も慌てて深いお辞儀をした。

男にとって大切な人の思いがけない訃報に、男は私をソファに押し倒すと、私の胸にすがりながら声をあげて泣き出した。

しばらく男の背中をさすりながら「お葬式にはうかがうでしょ?」ときくと、子供のように更に激しく泣きじゃくりながら、男は「ムリムリムリ!」と言った。

「いつまでも子供のままで、心配かけたままでいいの?少なくとも、今までありがとうございましたとお礼を言いにいく義務があなたにはあると思う」と私がきっぱりと言うと、男は私の胸に顔を埋めたまま「うん」と小さくうなずいた。




お題「子供のままで」

5/11/2024, 10:51:39 PM

愛を叫ぶ?
君はまだまだ子供だな

愛は愛する人の耳もとに
そっと優しく
ささやくものだよ




お題「愛を叫ぶ」

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