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仕事も人間関係もトラブル続きの1週間だった。 休みはやることがない。家にこもっているとモヤモヤが増幅しそうだったので、少し離れた小さな公園に散歩に出た。
途中で寄ったコンビニで、缶コーヒーと売れ残りのシャボン玉セットを買った。

そうだった日曜日ってことを失念していた。
小さな公園でも何人かの家族連れがいた。
「ここまできたしな。」
俺は諦めて、暑いくらいの誰も座らないベンチに腰掛けコーヒーを一口飲んだ。
そしてさっき買ったシャボン玉を吹いた。
コーヒーの香りとモヤモヤの混じったため息で満たされたシャボン玉が、風にその身を委ねてフワフワと空へのぼって4秒くらいでパッと壊れた。


遊んでいた子供たちが向こう側の日陰のベンチの母親らしき女たちに何か言ったと思ったら、こっちに来た。
「うわっ何」俺は困惑した。
「おじちゃんシャボン玉もっとやって!」
「たくさん!」
「もっともっと!」
女たちの方を見ると、中の1人が「すみませーーん」と大声で言った。どうやら相手をしろということらしい。

おじちゃん?俺27だぜ?
っつーか、知らないおじちゃんとしゃべっちゃいけないんでねぇの?とも思ったが、不審者扱いよりはマシか。
仕方なくシャボン玉を次々に作った。
子供たちはシャボン玉をひたすら追いかけてその小さい手で何個も叩き潰した。子供たちの攻撃からの逃げ切ったシャボン玉が1つ空へ上った。
酸欠になりかけた頃には、何だか俺の吹きこんだモヤモヤモも叩き潰されたみたいで、気持ちが軽くなっていた。
シャボン玉セットの未使用の残りを子供たちにやると、俺は女たちのほうに軽く頭を下げて公園を後にした。




お題「風に身をまかせ」

5/14/2024, 11:49:11 PM