〈お題:冬休み〉
もうそんな季節か…クリスマスで多少は浮ついていた狼狽心が今はもう輝きを失っている。
学生の頃は「あーだこーだ」不平不満を世間に向かってぶちまけていたが、未熟ゆえの苦労だったと痛感している。
そんな恵まれた環境で不満を言えた理由も人生で最も愉悦に塗れた時期だったからだと後になって知る。冬休みが短いと嘆いていた過去の己は真性の愚者だった。それに付随する自己主張のどれもが「世間知らず」の一言で片付いてしまうようだ。
当時学生だった自分の舐め腐った態度を思い出しては辟易する。なんと、愚かなことか。
苦労を知らないから努力を軽視した発言ができるのだ。消費者、自分の場合は無生産な愚者だから当時はマナーやモラルを軽視できていた。
今は文化の違いとやらでマナーや法律を軽視(この場合は無視)した連中が不法滞在しているが…そんな絶望的な現象から目を背けて、…。
冬休み。
時間の使い方を学ぶのに適した時期だ。
今のうちに休日の過ごし方を研究するといい。
気分が滅入りやすい人ほど休日の使い方が下手な傾向がある。多彩な趣味を持つといい。
多彩といっても多才になれとは言うまい。
素人よりは知識を持てれば御の字である。
これから関わる人や環境が変わる。
人が変われば物事への印象も変わる。
入り口は広い方がいい。
夜更かしせずに、一度十時前に寝てみてほしい。夜型の人ほど朝の長さに驚くだろう。
四時から十二時までの全ての時間が朝だ。
十時前に入眠したなら朝はとても長い。
具体的には『朝に朝食と昼食を作り、長距離のランニングをしてシャワーを浴びる時間を捻出することも、同時に洗濯物を回して干す暇もある』これでもまだ十時半を過ぎていないはずだ。
地域によっては薪割りも出来る。
薪割りをする地域の人は元々早起きなので今更な話ではあるけれど。
まぁ、そんなわけで冬休みは『長期休暇を有効活用する方法』を学ぶのに適している。
本を読む時間を取り入れ…ここのユーザーには要らぬ提言だったかな?
〈お題:愛言葉〉
諦め。
やっぱり難しい…。
〈お題:行かないで〉
もやもやとした嫌な感じ。
なんだか、体が熱くて嫌な感じ。
スッキリとしない感じ。
行かないでと泣き喚いた。
シクシクと声を抑えるオトモダチ。
顔を下に向けて泣いている。
今世の別れ。或いは一生の思い出。
ずっとつづくとおもっていた世界の色が褪せてしまう。
私は泣いている。
でも、何に泣いているのかな。
モヤモヤとしたこの感情の正体が怖い。
私は何を悲しむのかな。
オトモダチが何処かに行ってしまう。
「…行かないでよぉ」
泣き疲れて掠れた声が嫌にピッタリだった。
あくせくする周りの人達は凄い“イイ人”。
〈お題:どこまでも続く青い空〉
蟻の行列の、最後尾は何処まであるのだろう。
随分と薄くなった白線を辿りながら家を目指す。手にした虫眼鏡が太陽光を反射して、影を乱した。
時刻は午後14:38分。
現在の天気予報は晴れ。降水確率は20%。
下を見て歩けば、背中いっぱいに感じる太陽に心まで絆され、少しばかり足取りが浮つく。今朝は小雨が降っていたこともあってまばらに自生する草花が嬉しそうに見える。
犬も歩けば棒に当たる…電柱に頭部を、まさに青天の霹靂。
痛みに振られて空を見上げた。
〈お題:忘れたくても忘れられない〉
あれだけ遠のいていた意識が眼痛に引き止められる。不本意な痛み。不愉快な感触。
映り込む光景がその痛みの元凶、さして変わらず在るその水面。落ちた先が奈落を思わせる空虚な世界。木漏れ日が嘲笑うか。揺蕩う風が私を脅す。
私の童心が、苦悩が水に溶け込んでいる。
透き通るような青い空が、雪辱の雲を作る。
ピッー、ホイッスルが鳴った。
練習試合開始の合図。各ブロックが一斉に構えた。
水泳選手としてこの場に立った私が、激しく揺れる水面に顔を映す。
ーピッ。
水に落ちた私の、一心不乱なその逃避行は他の追随を許さない。折り返し地点、落ちた先はあの日の続き。溶け出した感情が肌を妬く。
足も、顔も、手も、絡みつく空虚を祓う様に手を伸ばした。
ピッピッー。
私はまとわりつく水を掻き分けて空を見上げる。ゴールに接触した瞬間の試合終了の合図が知らせるもう一つの事実。
一拍の過呼吸を経て私は水に沈んだ。