『神様へ』
今日はいい天気だ。ベランダの戸をひいて、
スリッパを履き、足を踏み出す。
空を見上げてみると、いつもより青く、澄んで見えた気がした。
気分転換に、散歩してみてもいいかもしれない。
そうして軽く準備を整え、
どこかに向かって石畳の道を歩いていると、
目線の先に、小さな白い手紙がポストの前に落ちているのが見えた。
なんとなく気になってしまい、
さっと拾い上げてポストの郵便受けに入れようとして、手が止まった。
内容が目に入ってしまったからだ。
そこには、こう書かれている。
「 神様へ。
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すずが いなくなっちゃいました。
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おかあさんが てんごくってところにいった
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んだよっておしえてくれました。すずはげんき
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ですか ごはんいっぱい、 食べてますか
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また あいたいです。
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すずがだいすきな りりより。」
そっとポストに、その手紙を差し入れた。
さっきよりも歩く足取りが少し、丁寧になった気がした。
『夢が醒める前に』…考え中
『安らかな瞳』
良い天気だ。今日は一段と、澄んだ青色が
見上げる目線の先一面に広がっていた。
ベランダの引き戸を開けて、外を眺めはじめる。
すると目の前を、二匹のカラスが
立派な黒い羽を大きく広げ、バサリと大きな音を立てて通り過ぎていった。
静かな朝に響いた羽音は、いつもより迫力を感じさせるものだった。
しばらく、まだ音が残る耳をすませながら
風にあたっていた。
そして今日も、花に水をやる。
この時間は、安らかな瞳で、日々を感じさせてくれるものになった。
『平穏な日常』
朝のアラームが、静かでまだ、薄暗い部屋に鳴り響く。
朝だ。
朝は毎日、欠かさずやってくる。
太陽にも、休みがあってもいいんじゃないか。月に変わって貰えればこちら側も嬉しいのに。
そんな呑気な事を考えながら、朝の支度をし始める。
だるい体を布団から起こしながらスマホに手を伸ばす。
特に誰からもメッセージは来ていなかった。
さて、まずは何か軽く食べる事にしよう。
トーストを焼き、ココアを入れ、一息ついた頃にテレビに目をやる。
最近のニュースは特に良い物を聞かない気がする。
もっと癒し系で溢れればいいのに。
なんやかんやで、ぼんやりテレビを眺めていると、
時計の針の音が、慌ただしく聞こえてきた。
あっ、時間だ。
急いで荷物を持ち、
早足で玄関へ向かう。
ちょっとゆっくりし過ぎたな。
今日はなるべく、急ぎめに向かう事にしよう。
『愛と平和』
ベランダで花を育て始めた。
忘れな草って言う、小さくて、でも見ていて飽きない。そんな花だった。
それから毎朝、
ベランダに出るのが楽しみになった。
見る時間帯によって違って見える。
夕方には花の影がゆらゆら揺れているのが、
とても愛おしく思った。
毎朝欠かさず、今日も元気よく、綺麗な姿を見せてくれている。
それがどうしようもなく、嬉しかった。
見ていて癒される、暖かい気持ちになれる。
いつかは枯れてしまう日が来るけれど、
また会える季節まで、忘れないように。
花を眺める時間は私にとって。
とても平和だった。