待ってて
赤い毛をひとつにくくりながら、あの手紙のことを考える
1000年たっても忘れない、と書かれた文字は少し右肩上がりで、どんどん間隔が狭くなっていっていた。
あの栗毛の子は文字のくせが強いのだ。
知らない人から突然渡された手紙は、見覚えのある字形
待っている、と言ったあの子はもういないことを知った。
あの子の口癖だったのんびり行こう、を私の口癖にして
赤いネックレスを握りしめ、宿を出た。
雲は歌のようにくるくると渦巻いていた。
(過去の投稿から「1000年先も」がテーマの文章を読むことを推薦します)
伝えたい
上から照りつけるライトが、緊張に拍車をかける。
うるさい心臓を鎮めるため深呼吸をする。
ステージの上ではみんな私と似た表情をしていた。
年に1回しか開催されないコンクール。
今日まで練習に練習を重ねてきた。
トロンボーンを構え息を肺にためて、
音を届けるステージの始まりだ。
この場所で
ここに来てから2ヶ月たった。歌を歌う君と一緒に歌ううちに、私まで歌を歌うようになってしまった。
歌い方のコツや、ハモリのやり方を教えてもらったりもした。
雑草さえも焼く太陽を背にして、ひたすらに君と歌った。
結局旅の果てなんてなかった。自分がそうと決めつけるまで旅は続く。
この場所でずっとずーーーっと、生きていければいいのに
そこで私は目を覚ました。
(過去の投稿から「旅路の果てに」がテーマの文章を読むことを推薦します)
誰もがみんな
僕は君に愛されたいだなんて思っていない。
君の周りの人は君を好きでいたようだけど、
それが全人類にも適用されると思わないでほしい。
君にあげた造花だって花屋が見つからなくて
百均で買ったものだ。
君はそれに気づきもしなかったけど。
捨てられないな、とかほざいてるんだろうか。
ああ、イライラする
新しい彼女は束縛が激しくないといいな。
(過去の投稿から「花束」がテーマの文章を読むことを推薦します)
花束
生花だとすぐ枯れちゃうから、と造花の花束をくれた。
君がいなくなった今これはどうすればいいのかな
さすがに捨てるのは薄情かな
あーあこんなんじゃ一生忘れらんないじゃん