枝守

Open App

待ってて


赤い毛をひとつにくくりながら、あの手紙のことを考える

1000年たっても忘れない、と書かれた文字は少し右肩上がりで、どんどん間隔が狭くなっていっていた。
あの栗毛の子は文字のくせが強いのだ。

知らない人から突然渡された手紙は、見覚えのある字形
待っている、と言ったあの子はもういないことを知った。






あの子の口癖だったのんびり行こう、を私の口癖にして
赤いネックレスを握りしめ、宿を出た。



雲は歌のようにくるくると渦巻いていた。










(過去の投稿から「1000年先も」がテーマの文章を読むことを推薦します)

2/13/2024, 1:36:46 PM