須藤 東

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4/3/2025, 11:20:25 AM

「アンドロメダ」

君も我が人生に於いて
出逢えない恋人なんだよ
君は私を知らないし
私は君の顔も知らない
相容れない恋人
例えば朝に私が生きているならば
例えば夜に君は生きている
アンドロメダの輝く孤独に
距離は関係ない
水平線が天に傾いたとしても
だからこそ君も生きていろよ
私が今そうであるから君も

「来た。」

弱いと思いこんで
生きて来たのでしょう
本当に弱いならとうに
私とこうして
生きて出会うことは
なかったでしょう
だからあなたに
私から交渉があります
私の持ってる泣く権利と
あなたの泣く権利を
およそ半分ずつ交換しましょう
そうすればあなたも私も
公平に泣き合えると思いますから
本当に

4/2/2025, 11:10:25 AM

「君を想って書いたバラード」

「空に向かって」という歌を
きみのためにつくったんだよ
歌うことが好きだった
君を思って書いたんだ
歌詞の
(眩しいひかりペルセウス)
それが君
歌っていると
五線譜の向こうに君が見えてくる
私は歌っている時にだけ
遠くの君と近くで会える
だからこの歌は この魔法は
とても大切にしているんだよ
だけど五線譜の向こうの君は
何度歌っても
私の告白を両手で返してくれた後の
暗い君

3/31/2025, 10:22:38 AM

「愛してる」

君に贈るいろんな色の
またね!をつくったよ
だけど時間が経つと
ぜんぶ名の無い色の
「愛してる」になった

3/29/2025, 10:34:14 AM

『Good bay』

思い出はもう
一言くらいに
とどめておいて
小さな紙に
記しておいて
私たちの中にあるでしょう
涙がつくった砂時計に
二つ折にして入れておく
時が経って
思い出したら
朝と夜を
さかさまにして
茫洋な明日を眺めましょう
そのとき砂の滴る潮の音が
私たちの思い出を
すこしずつでも
渫(さら)っていくと思うから
時が経っても
思い出すことがないのなら
私たちは
生きていけると思うから

3/28/2025, 10:46:01 AM

『猫』

南に向かって大きく
欠伸をしていた君が
私に気が向いたのか
気怠るげに寄ってきて
真っ白な毛並みの揃う
靱やかな体を
私の足に触れさせた
懐いてはくれているみたい
だけどいつも一緒にいるのに
君が本当に幸せなのか
もっときれいな幸せを描いているのか
人である私にはわかってあげられない
だから今日も君の小さな頭と
ミツバチのような小さな耳
それから背中まで撫でてあげる
君が飽きたと立ち去るまで
生きてきていっぱい
頭を叩かれた私は今日も
撫でると蕩けて
甘いスライムになっている君を
今日も撫でてあげる
撫でてあげる

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