2/8/2024, 1:31:19 PM
不思議な魔法使いの国で
おてんば娘は踵を返しスマイルを浮かべた
今日は髪をひとつにくくり
お気に入りのワンピースは陽に
照らされ反射する度に陽光は瞬きを
繰り返す
ミラーは表情を次々と変える
女優のように慶びを称える
もう、あの人はいない
いない、愛などない
あれほど愛していても
勘違いだったようだ
いない、死んだから
私が失くしたから
いいのです、それで
いいのです、わがまま言いません
スマイル、スマイル、スマイル
愛などない
スマイル、スマイル、スマイル
わがまま言いませんから
スマイル、スマイル、スマイル
何も言いませんから
空気で居させて
くまさんのことぶき
2/7/2024, 12:39:30 PM
あの日は命日だった。
亡骸に血塗られた壁を焼き付けた。
小さな肩が揺れ、今にも止まりそうで
とまらないとまらない、鼓動が
鳴り響く、呼吸が消え失せる
衣擦れの音が、これが現実なのだと
報せる、大きなアラームのように途切れた
心が死ぬ音は只、乾いて揺れた
冷静な心は固く脆く錆びついたナイフだ
心の灯が懐かしく消える頃
初めて人を殺そうかと目を閉じた
そう目を閉じただけだった
一瞬とてつもない強さで重ねて誓った
十二単の重みのようにずっしりと
離れない心の癌なのだ
そんな風にして今も命日が今の私の
誕生日で違う人生があった
小さな肩の少女の命日だ
くまさんのことぶき
2/6/2024, 2:09:30 PM
時計は何も云わず
風は吹いている
時計の針は時代のこどもたちに
何を伝えるのか、
哀しみに暮れた明日を
穏やかな今日のギフトを
許し難い混沌に時計の針は
風を呼び微笑を湛えた
くまさんのことぶき