金木犀の香り。日が落ちるのも早くなった。
大学からの帰り道、秋の香りがした。哀愁をそそる秋風と夕焼け。人肌の恋しい季節ってこういうことだなぁと身に沁みて感じる。
私には家族も、友達も、親友と呼べる人もいる。なのに寂しいって感じることがある。誰も私のことなんかわかってくれないって。
私は秋の香りが好き。
秋の香りは私にいつも寄り添ってくれる。
一緒に寂しがってくれて、大丈夫だよって心を軽くしてくれる。
毎日家を出る前に鏡の中の自分に向かって笑いかける。
「大丈夫、今日もかわいい」そう話しかける。
鏡は私の見た目だけをうつす。
そこに写るのは私以外の人が見る私。
優しくて、頭が良くて、頼りになって、なんでもできるはずの私が写る。
本当は怒ってるし、悩んでるし、泣いてる、そんな私はどこにもいない。
いつのまにか感情を隠すのが上手になった。
平気そうに振る舞えるようになった。
この辛さはきっと分かってもらえるものじゃないから、その分私は暗闇でもがき、水中で泣いている人に気付ける人になりたい。
眠りにつく前は不安に駆られることが多い。
ありもしない先のことへの不安、人の気持ちを読みすぎて1人反省会。過去のトラウマが蘇って消していた電気を付けてしまうくらい怖くなることもある。
昔から、いい子とか優しいとか言われてきていつの間にかいい子じゃなきゃダメ、優しくなきゃダメって思い込むようになってた。それしか自分の価値がないみたいに。
小さなひと言に傷ついて、人の顔色を伺って、全部しんどいことは自分がやろうって思って生きてきた。
感情を隠すのが得意になっちゃった。
でも隠した感情って眠りにつく前に突然目覚めたりするんだよね。1人だから誰にも当たらなくて済むけど、1人だから隠した時の何倍もの怖さや辛さになってる。
でもこの生き方しか知らないから、この生き方しかできないんだよ。でも、いいように利用してくる人がいる中で、そんな私にも寄り添ってくれる一握りの人を大切にして生きていこうと思う。
実際、自分の価値は自分にはわからないだろうしね。
男は一瞬、友情は永遠。そんな言葉を聞いた。
確かに大好きだった彼と会えなくなったり、彼氏に誕生日に暴言を吐かれて別れを切り出すことになったり…色々あった。そんな時いつも隣には大好きな親友がいてくれた。今は正直、男性不信。
でも私は永遠の愛を信じてる。
それが男か女かはわからない。でも私は親友のことを愛してる。恋愛感情じゃないけど。それも立派な愛じゃない?って思う。
きっと恋は一瞬、愛は永遠、なんだと思うよ。
私たちの根底にはそれぞれの理想郷があるんだと思う。
その理想郷が私たちの生の原動力になる。
連日報道される若者の自死。理想郷と現実世界があまりにもかけ離れている、自分の生だけじゃどうにもならないと絶望した時人は死を選ぶ。
「みんなが幸せな世界」
「戦争のない世界」
教師という道を選ぼうとしている1人の大学生にすぎない私だけれど、こんな理想郷を持つ子どもたちが絶望しない世界を作らないといけないと思う。