Day.12_『秋の訪れ』
仕事を終えて車に乗ろうとした時、ふわっと甘い香りがした。桃のような甘い香りだった。
(桃の匂い……?)
辺りを見渡すが、それらしきものは見当たらない。そこでふと、気がつく。
(そういえば……)
私は、たまたま近くを通りかかった先輩に尋ねる。花にそこそこ詳しい人だ。
「この匂いって……?」
私がそう言うと、先輩も辺りを見渡す。最初は、よく分かっていない様子だったが、その内に香ってきたのか、「あっ」というような表情をした。
「いい匂いだね〜」
先輩が微笑みながら言う。
「そっかぁ、もう金木犀の時期なんだね〜。この時期でも暑いから、気づかなかったなぁ」
しみじみと言う先輩。たしかに今年の夏……といっても、今現在でもそうだが、暑い。暦的には秋だと言うのに、夏日が続いている。
「でも、この匂いがすると、今でも季節感を感じられるよ」
「そうですね」
私は先輩と共に、金木犀の木がある方に自然を向けた。
秋という季節感が薄れている近年だったが、ほんの少し、秋の訪れを感じることができたエピソードだった。
Day.11_『旅は続く』
とあるアーティストの曲で印象に残っている歌詞がある
「旅人に尋ねてみた
どこまで行くのかと
いつになれば終えるのかと
旅人は答えた
終わりなどはないさ
終わらせることはできるけど」
有名な曲なので知っている人も多いだろう
自分の夢や目標があるとき、その道のりは果てしなく長い
ひとつの目標や夢を達成しても、その「次」がある
それは、永遠と続いていくものだと、私は思う
まさに、「旅人」のようにして歩んでいくのだと思う
旅は終わらない、だが、終わらせることはできる
それならば、その「旅」を終わらせるのは
もう少し先でもいいだろう
いつでも終わらせられる、「諦められる」
ならば、もう少し歩んでみても、いいのだろう
だから私は、旅を続けるのだ
Day.10_『モノクロ』
以前、色彩を勉強していた時に、白と黒は色ではなく、光の反射や吸収の度合いで見えるものだと知った。
全ての光を反射すると白に見え、全ての光を吸収すると黒に見えるそうだ。
では、「モノクロ」は?
少し調べたが、「モノクロ」「monochrome(モノクノーム)」の略で「単色」を意味するそう。
それを知った時、必ずしも白と黒だけで構成されているものが「モノクロ」だとは限らないことを知った。
赤や青といった、1つの色で構成されていれば「モノクロ」と表現出来るとの事。
ならば、自分の色を「モノクロ」だと言っても良いのではないだろうか。
よく、「自分色」と言うが、これは所謂「個性」や「価値観」、「外面的な印象」などを言うらしい。
1つの色で構成されることで表現できるのであれば、「自分色」だって「モノクロ」だと言っていいのだろう。
何が言いたいのか分からない?
つまりだね……
「たった一つの色でも表現できるのなら、『自分色』だってそれが可能だろう?自分という色は、1色しかないのだから」
ということだ。
Day.9_『永遠なんて、ないけれど』
小さい頃「永遠の命」が欲しいと思っていた
ずっと続く命があれば好きなことができる
好きな人とずっと一緒にいられる
そんな事を考えていた
だけど今は「永遠の命」が欲しいとは思わない
ずっと続く命があれば好きなことができる
好きな人とずっと一緒にいられる
それは確かにその通り
その通りだけどそれは
「命が有限である」から故に思う幻覚
好きなことをする
好きな人と一緒に過ごす
それは「命が有限である」から好きでいられる
私たちに「永遠」なんて言葉はない
「永遠」なんて言葉はないからこそ
私たちは「今」を必死に生きなきゃならない
「有限である命」を無駄にしない為にも
Day.8_『涙の理由』
私はたまに、一人でいるときに思い切り泣きたいと思う時がある。「大声で泣く」というより、「涙を流したい」と思うのだ。
泣くことで、気分がスッキリする。誰かがいると、不安にさせてしまうので、夜の自室にて泣く。
映画を見たり、本を読んだり。方法は様々。
時には、無理やり自力で泣くこともある。
涙の味によって、何故泣いているのかが分かる。
そんな感じのを聞いたことがある。
夜、泣きたい時に泣く時はかなり泣いている私。
口の中に涙が入ってしまうことも、もちろんある。
その時の味は……
しょっぱかった気がする。