【欲望】
抑えが効かない/無限増幅/性欲/食欲/睡眠欲/三大欲求/悪きもの/原動力
凡そ、俺には欲望というものがなかった。
人間、誰であれ動く時は欲というものを必要とする。
腹を満たすために飯を食うだろうし、快楽を得たいから会話をするのだろうし、見返りを期待するから人に優しくするのだ。
勿論、生存をするために飯は必要で、飯を買うために金が必要で、金を稼ぐために仕事が必要で、仕事で浮かないように友人は必要だった。
俺に友達が1人もいない、なんてことはない。
手に職がない、なんてわけでもない。
ただ「生存」が可能なだけであって、それ以上のものはなかった。
変わり映えのない日常に、そもそもの「生存」の意味を見失っていた。
人が生きていくためには欲望が必要だと理解したのはつい先日のことだった。
バイトの帰り道。ブレーキランプを目にして、ブレーキを握りしめた。大きなため息が漏れた。
ドッと疲れが押し寄せてくる。ようやくあがりだ。と思った矢先にこれなんだから。
この先は地元では有名な化け物T自路だ。一度捕まるとしばらく抜け出せない。
頭がやけに重い。これが熱であって、そしてバイト前に気付けていたなら休めていたのに。なんて、仮定に仮定を重ねた意味のない結論が頭をよぎる。
がくりともたげた頭。そしてその視界に、真紅のドレスに身を包んだ女性が映った。
フリルが多く、意匠にも凝っていて、素人目からでも相当な値打ちものだということは理解できた。
身体中に電流が走った。あの優雅な服を纏える女性というのは、一体どれだけの美貌なのだろうか。
女性は掲示板を見上げて、しばらくそうした後、落胆したように肩を落とした。
あれは、確かどこか有名な劇場の告知だったと思う。
クラクションが鳴り響き、道を塞いでいた車がすでにいなくなっていたことに気付いた。
慌ててエンジンを蒸した。
……帰り道はずっとその女性のことを考えていた。
俺の中では、必死に研鑽を積んで、血の滲むような思いで足掻いた結果、しかし力及ばずオーディションに受からなかった女性のストーリーが描かれていた。
俺の中に欲ができた。そんな報われなかったあの女性を、どうにか救ってやるのだと。
_あとがき_
体力切れにより、よくわかんないまま完成させました。まぁ、まぁ。うん。構成力は上がっている気がするのでよしです。
文章力?まぁ、まぁ。うん。おいおいね。
【現実逃避】
2人で現実逃避してみない?
俺たちのきっかけは、そんなくだらないことから始まったんだよな。
その日も俺の椅子はびしょ濡れでさ。昼休み居場所のない俺は、いつもトイレで飯を食ってた。でもそれもバレて、トイレは安住の地じゃなくなった。
だから屋上を選んだんだ。手すりが老朽化して危険だってことで、立ち入り禁止だったから。
君がいなかったら、俺は多分あの時死んでいたと思う。本当に感謝してるよ。
それからの日々は楽しかった。何せ、初めての彼女だったわけだし。
童貞っぽい?うるせーな。
とにかく、楽しかったんだよ。今でも昨日のように思い出せる。1番楽しかったのは水族館だな。
そうそう、勢い余って水槽に突っ込んだ奴。
ま、空気は凍りついたけどさ……
……無理だろ。
だって、俺にとって君は恩人で……!
頭撫でんなよ……
逃げても良い、じゃねぇよ……
ここで逃げたら、君との思い出も全部手放すことになるんだろ?
……だからごめん。最後の最後で、俺は現実逃避をやめるよ。
彼女の寝顔は穏やかだった。
_あとがき_
語れば語るほど蛇足。ということで今日のあとがきはなし。あざした!
【君は今】
過去/後悔/助けられなかった/死別/別離/失敗/過ち/恋愛/浮つき/未来/タイムスリップ/日記/反芻/忘却/別れ/距離
君は今、何をしていますか?
剣劇の中で、なぜか先日書いた手紙の内容を思い出した。
頭が冴え渡っていた。数は劣勢、実力も遥かに劣っている。勝てる道理がない。
だからこそだろう。諦観に入った思考は、もはや「どう勝つか」ではなく「何を残せたか」だけを探し求めていた。
世界が止まって見える。
ネルソンが隙をつかれて死んだ。快活に笑う、気の良いやつだった。
ゴードンが数の差に押し切られて討ち取られた。飯が食い切れなかったら、とりあえずこいつに頼んでおけば良い。みたいな空気がでしていた。
ルーナが死んだ。デーズが死んだ。ヴァルハラが、ゼダスが、アストリアが死んだ。
仲間が1人ずつ倒れていく。
ふと、目の前に刃があった。
次は俺の番か。
反射的に目を閉じる。
__しかし、次の瞬間響いたのは、鉄のかち合う甲高い音だった。
突然の乱入者に、戦場の空気が冷えた。
時間が止まった。俺だけじゃなく、この場にいる全員の。
どれだけ時間が経ったのだろう。
永遠にも見えるほどに止まった時間を溶かしたのは、敵の方だった。
「何者だ!名を名乗れ!」
その声は低く、張り上げられていた。
声で自らを鼓舞しようと言う威圧の意図が見てとれた。
あの一瞬で乱入者の実力を認めたのだろう。
「……俺は、バースト」
「俺は今、親友のコイツを助けにきた!!」
_あとがき_
随分久しぶりにこのアプリを開きました。
……腕が落ちています。まぁしゃーない。
【優しさ】
優しさだけでは、人を救えない。どうして、今になってあなたの言葉を思い出すんでしょう。亡骸を抱えながら、ただひたすらに涙を流す。私が先走らなければ、あなたはきっともっと長く生きたのに。私の方が死ぬべきだったのに。
「うぁぁぁぁ……」
声にならない声。呻くほどに痛む喉。苦しい胸を抑える。このままもぎ取ってしまえたら楽になれるだろうか。
_あとがき_
今日は体力がないのでおざなりです。まぁ書いただけよしとするべきでしょう。
【安心と不安】
安心と不安が行ったり来たり。ゆりかごのように、ふらふらと。時がすぎるほどに概念は曖昧になる。
「どうしたの?ぼーっとして」
「あ、うん。ごめん。ちょっと考え事」
「大丈夫〜?疲れてるなら、無理しないでね。私もいつだって話くらい聞いてあげるからさ!」
「うん。大丈夫。大体、芽衣が側にいるんだ。悩みなんてあるはずないだろう?」
ガシガシと、大切な彼女の頭を撫でる。芽衣は始め抵抗したが、撫で続けると大人しく頭を委ねてきた。
「……そういえば、セット大変なんだっけ?」
「そ〜だよ〜! 毎回言ってるよね!! 気合い入れてるんだって!」
「それは、俺と会えるから?」
「……もうっ! それも毎回言ってるじゃん!」
そう言うと、芽衣はぷくーっと頬を膨らませてそっぽをむいた。
俺はそんな芽衣の、膨らんだほっぺたを指で突くのが好きだ。
「突っつかないでよ、もう」
俺の可愛い彼女は、そっぽを向いたまま、鏡と睨めっこをしていた。毎度ご苦労なことだ。
突きながら、ふと思案に耽る。可愛い彼女がいて、こんなにも楽しいのに。どうしてこんなにも不安を感じるんだろう?
「ほんとにどしたの? 来人。やっぱ今日ちょっとおかしいよ? 今日はお家デートにする?」
そんな不安を察したのか、芽衣は顔を覗き込んでくる。ああ、今間違いなく幸せだ。そうだ。そうに違いない。
だから、笑ってないと。
「……大丈夫じゃないよ」
「……へ?」
「ちゃんと分かってる。大丈夫じゃないんだよね」
「め、芽衣?」
「だからさ、泣いていいんだよ」
布越しに体温が伝わる。彼女が俺を抱きしめていた。
「……何してるんだ?」
「大丈夫、大丈夫だよ」
彼女はそれしか言わない。同じことしか話せない人形のようだ。
そんなの、そんなの芽衣じゃない。
……あ。
そんなの、芽衣じゃない。
安心と不安が行ったり来たり。ゆりかごのように、ふらふらと。時を過ぎるほどに曖昧になった概念が、一つに結ばれた。
目が覚めた。
_あとがき_
改訂するつもりが、結局他のことに気を取られできませんでした。はー。怠惰怠惰。