【 すれ違い 】
取引先の担当が代わったりすれば、
ランチを共にしたり、時には飲みに行くこともある。
袖振り合うも他生の縁。
少しでも人脈を広げたり、維持したり。
きっかけはどうあれ、ご縁を大事にしようと思うのだが、
相手も同じとは限らない。
ランチくらいのんびりさせてほしいよなぁ。
最近、昭和の思考がお気に召さないお相手もいて、
聞こえてしまった一言に深く考えさせられたものだ。
パワハラのワードに恐れをなして、
後輩たちを誘うことはほとんどないが、取引先も難しい。
今夜の飲み会の予約は、キャンセルしておこうと思う。
【 秋晴れ 】
猛暑日なんて聞いたこともない時代、
10月でも半袖で遊んでいたのが懐かしい。
夏場の入道雲は、くっきりした白。
空とのコントラストがよく映えた。
朝夕の涼しさに季節を感じる今、モコモコ雲はもう無い。
あるのは小さく、薄いものばかり。
その分、青さが際だって、清々しさを感じる。
やっぱり、この季節が好きだな。
服装に頭を悩まされるのは困るが、すべてが丁度良い。
お出かけ気分もアガるもの。
うん、好きだ。
【 忘れたくても忘れられない 】
程度の違いはあれど、誰しも一度は経験する。
衝撃的な出来事。
あの人は、初めて親に叩かれて。
その人は、前人未踏の記録を出して。
今日までに色んな事が積み重なって、思い出になる。
なのに、迫る病魔は全てを消し去ろうと躍起になった。
脳内メモリのバグが、光速級に広がっていく。
そうして最後に残るのは、
笑顔溢れた、懐かしいあの頃の記憶。
一番輝いた、自慢のあの頃。
【 やわらかな光 】
こんなにも暗闇に墜ちるとは思わなかった。
ただ、自分というものの価値を軽んじて、
大事なものを見出だせなかった結果がコレだ。
他人がどんなに案じた言葉をかけてくれても、
何ひとつ響かない、いや、気付かなかった。
もがいても何も触れることのないここで、
過去を悔い、未来を嘆く。
そうして愚かさに打ちのめされて、やっと辿り着く。
あぁ、バカげた人生だったと笑い合う、
そんな幸せを噛み締めたかった。
できることなら、やり直したい。
その願いが伝わったのか、一筋の温かい光が差し込んできた。
安堵する、優しい光。
今、天上への門が開かれた。