不完全な僕、それは、いつも言われる。
慣れっ子だ。
なんでもかんでも中途半端で、真ん中。
物語で言えば無害なモブキャラだろうな。
不幸体質で、やったことないことでも
頼まれる。
嫌なんだか?
あぁ、早く主人公みたいになりたいな。
"良いでしょう。此方に来なさい。"
え?
眩しく光ったら、そこは知らない世界だった。
驚いていたら、大人の美女が来たのだか?
何かを呟いて俺の腕を引く。
やっと主人公だ!!
"貴方は今から生け贄です!!"
夢を見すぎては本当の事が分からなくなるよ?
香水の匂いがする。
甘ったるい匂いではなく、なんとなく、
良い香り、ラベンダー畑の真ん中で踊るような
居心地の良い感じがした。
付けている当の本人も、大人びた感じがする。
やっぱりアレが小さいから…?
まっ。いっか。
違う性転換世界線♀→♂
なんだか珍しい匂いがする。
いつもよりも美しく見える。
大人の色気が満々としている。
この気持ちはなんだろう。
隣に居るアイツの事しか考えられない。
?顔をして居るが誘っているようにしか見えない
理性よ…。頑張れ…。
"どうかしたのか?"
あぁ、無理だ。
トサッ。
驚いていたが、受け入れてくれる顔をしていた
良さそうだな。
"良いのかぜ…?このままだと…"
オジオジしていると、ムッとした顔をして
俺の三つ編みの髪の毛を触り、こう言った。
"さっさと、やれ。そんなにチビんなくてもいい。
俺も好きで受け入れてるんだから怖がるな。"
それを聞いた瞬間体が動いた。
受け入れてくれてありがとう。
さっさと、手を出してくれてありがとう。
あらあら、私の巫女が先に取られてしまったか。
どうしようかな。
言葉はいらない、ただ・・・。
私とこの綺麗な夜の月を一緒に眺めて、
布団に入って何気ないことを思い出して、
忘れられないくらい、愛し合って、
この病気も忘れるくらい、
最高な一日を過ごさせて。
悲しい事を考えていそうな顔をしながら
不安そうな気配も出していることにも
気付かずに、私は知らない顔をしながら
今夜の月を眺めて言葉なんてなくても、
私達との縁は忘れずに、
愛おしい顔を撫でながら布団に入り、
最後の夜を過ごした。
彼女の呪いは、忘却症と楽園症に掛かっている。
忘却症は記憶が消えてなくなり、
誰も彼も忘れてしまう。
楽園症は、この世界に居ると稀にかかる病気だ。
主に、人間以上の力を常に使っていたせいだろう
私は隣に居るのに、かからなかった。
魔女になっていたから。
でも、怒られやしなかった。
一応、許可は取っていたから。
楽園症にかかると力も出せず、
一般的な人になり、現世、いや、
そっちの世界にしか居られなくなる。
だから、最後なんだ。
ありがとう、愛おしい人よ。
さようなら、もう会えないけど、見ているね。
ごめんなさい、愛おしい人よ。
いってきます、もうこっちには居られないけど
いつも考えているからね。
だから、泣かないで。
私はいつも、側に居て守るからね。
皆には迷惑かけるかもしれないけどよろしくね。
また、この場所で会いましょう。
突然の君の訪問。
とても寒い冬の日で雪が降っている中
傘を差さずにそのままで来ていた。
耳と手が真っ赤になっていて、
寒そうだったので直ぐに家に入れて、
お風呂に入るように言って、
着替えを置いてお風呂場を立ち去った。
風呂を上がり髪の毛を乾かして、
自分の服を着ているのがより欲望を
掻き立ててしまいそうで怖い。
彼女は、
"ありがとう。寒い中着て良かった…♡"
そんな声で言わないでくれ…。
色々とクる…。
けど、それを知ってやっているのも
可愛い所だ。
それでは、寒いので一緒にベッドに入り
暖め合いながらゆっくりと眠った。
雨に佇む、失恋の色よ。
どうか、どうかまた、あの子の隣に居させてよ。
あの男の子は今元気ですか?
神隠しなんてしないで欲しかった。
私は、どうしたら良いのか。
鳥居の前で神社に行けない私を許してよ。
愛しの貴方へ。
"待ってるね!"
あの男の子の声が木霊する日を何度も繰り返す
日々を欲しくなかった。