シャワーが嫌いだ。
流れていく。彼の匂いと幻想が。
嘘みたいだ。全部。
こうなることは分かっているのに。
「ありがとう。気をつけてね。」
車が離れてゆく。
手を振る。
結局、また会ってしまったな。
彼の1番にはなれない。
分かってるのに、思い描いてしまう。
あのまま車に乗って、同じ家に帰る日々を。
私が悪いんだきっと。
彼は苦しまなくていい。
笑顔でいて欲しい。
あの人とはずっとお幸せに。
嘘だよ
夕焼け小焼けのチャイムが鳴って
よい子は早く家に帰りましょ
夕焼け小焼けのチャイムが鳴って
よい子は早く家に帰りましょ
「遠い鐘の音」
クリープハイプ、「キケンナアソビ」に誘われて
「シアター」(夜空を越えて)
朝起きて、コーヒーを淹れる時と、映画館から出る時は似ている。
空想や夢の中にいた自分の思考が、緩やかに現実へ引き戻されるから。
シアターが明転して、映画館にいる私へと視点が動く時間。
さっきまで幸せそうに笑う主人公はそこに居なくて、それを見届けた自分だけ現世に取り残される。
それまでの星空が真っ白なスクリーンに変わる。
マグカップを持ってリビングへ。
リビングのテレビからは凄惨な世界情勢とか、節約レシピとかが雑多に流れている。
コーヒーを飲み干す。
脱ぎっぱなしだった上着を着る。
今、フォーカスは私に向いている。
もう星は見えなくても
思えば私は飢えていた
暖かい毛布もシャワーも
やわらかな36度にはかなわなかった
いまだに仕方ないと思う私はどうしようもないね
最後に君は顔色ひとつ変えずに
すました顔で別れたね
いまだに残る温もりは
誰のものかも分からない
いまだに残る温もりは
誰のためかもわからない
今日も雪が積もる
彼女が口元に当てた指を思い出す
ごめんね。ぼくが弱かったばかりに
あの時手を伸ばせていれば
彼女はもういない
腕のせいか、ずっと何か忘れている
それでいいのかもしれない。てかしょうがない
あぁ、こんなんじゃ顔向けできないや
冬の日差しもとっくに慣れた
この腕も自由に扱える
だから
なのに
お題 雪原の先へ
(宝石の国より、フォスのアンタークへの気持ちに添えて)
黒い空に白い息が映える
丘の上から見る街は美しい
昨日は自分もあの一員だったくせにこんなに美しく見えるのだなとすこし嫌になる(いや感心してる?)
缶コーヒーを飲んであれこれ考えるのをやめる
結局あの光の塊に帰るのだしなんでもいいだろう
ため息をつく
目の前の白い息の奥には確かに星が光っている。
気分がいい
車に乗り込む
ヘッドライトは眩く輝く
「白い吐息」