「まだ見ぬ景色」
いつも明るいあの子は僕に問いかける
キミはなんでそんなにまっくろなの?
僕は何も答えない
太陽の下のあの子は僕に問いかける
キミはなんで地下にいるの?
僕は何も答えない
おしゃべりなあの子は僕に問いかける
キミはなんでなにもしゃべらないの?
僕は何も答えない
話す必要性がないと思った
興味が無いと思った
だから僕は答えないし
上にも行きたくないし
まっくろであることを望む
僕とあの子では性格も見た目も住む世界も違う
まだ見ぬ景色があったとしても
僕は知らない、知りたくない。
「あの夢のつづきを」
「確かに、彼の事は可哀想だと思うよ?
でも、どんだけ悔やんでも彼は死んだんだ」
優しく、諭すようにそうキミに伝えた、
けどキミは私の言葉に聞く耳を持たない
それどころか、
その場で泣きじゃくりながら
震える両手で小さな刃物を持って何かを叫んでいた
思えばキミはいつでも彼に支配されていた
彼が死んでから、更にキミはおかしくなった。
あいつさえいなければ
キミはこんなことにならなかったのに
あまりにも可哀想だ、可哀想すぎる。
だから私が終わらせないといけないと思った
だからキミの彼氏にやった事と同じ様に
キミに刃物を振りかざした
抵抗する君の姿すらも、愛しくて堪らなかった
しばらく戯れて疲れきったキミは
静かに私の傍で眠っていた
そんな君が愛おしくて愛おしくて
そんな君を眺めながら眠れることに
猛烈な多幸感を感じた
沢山遊んで疲れた私は静かに目を瞑る
そして、また夢をみるんだ
あの頃の、キミが彼に出会う前の
「あの夢のつづきを。」
[追い風]
歩く歩く歩く
背中を押されてる様な
不思議な感覚を背中に背負いながら
この道をただまっすぐ歩く
歩く歩く歩く
だんだん押される力が強くなる
歩くスピードが早くなる
いつの間にかチータになった気がした
走る走る走る
風圧に耐えきれなくなって転んだ
しんどくなった
ボロボロになった
それでも立ち上がって
歩く歩く歩く
ただ道のその先のゴールを目指して
背中に風を一身に感じて今日も
歩く歩く歩く
[君と一緒に]
黒い霧が空気を作り出す
その空気を吸ってる僕達はきっと真っ黒
今は昼の12時頃
パッと両手を広げれば君に触れる数センチ
真っ黒な霧を切り裂く僕達はきっと鳥
この時間は食べ物の匂いに吐き気がする
僕達が落ちたその場にだけ光が差し込んでいく
だから僕達はきっと神様
僕達が落ちた場所に少しづつ真っ赤な滝つぼが出来る
だんだんだんだん広がって彼岸花畑が出来上がる
今日はここでキミと一緒に眠ろうか。
「冬晴れ」
ダイヤモンドの光を浴びる
からっと綺麗な光の中と
きらきら光る真っ白なおふとん
ひろいせかいがきらきら光る宝石箱
手の中に包み込んでぎゅっとにぎれば
てのなかに大きな宝石ができあがるの
宝石をたくさんつくって
たくさんのどうぶつさんをつくったよ
きらきら光る宝石のどうぶつさん
たいせつにたいせつに宝石箱においておくの
きらきらの光が宝石を照らせば
さらにせかいが輝くの